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ブックマーク / lju.hatenablog.com (13)

  • グレッグ・ベア “鏖戦/凍月” - three million cheers.

    “HARDFOUGHT / HEADS” 1983, 1990 Greg Bear ISBN:4152102268 鏖戦【おうせん】/凍月【いてづき】 作者:グレッグ ベア早川書房Amazon グレッグ・ベアの中編『鏖戦』と『凍月』を収載したもの。 特に『鏖戦 HARDFOUGHT』は、自分にとってSFのなかでのオールタイム・ベスト。 最初に読んだのは『80年代SF傑作選』のなかでだったけど、今回の解説にも載っている初出誌コメントがそこで提示されていた。 作者紹介の前に警告を。あなたが読もうとしている作品は、これまで誌に載ったどんな作品とも違います。難解です──就寝前にさっと読める代物ではありません。けれどもこれは、とても読み甲斐のある作品です。読むのにかけた時間と労力を、あなたが後悔することはないでしょう。 ここまで唯一無比を謳う解説コメントもなかなかない。この紹介文のインパクトがすご

    グレッグ・ベア “鏖戦/凍月” - three million cheers.
    murashit
    murashit 2023/04/30
    ベアはさいこう
  • エル=モフタール, グラッドストーン “こうしてあなたたちは時間戦争に負ける” - three million cheers.

    “This Is How You Lose the Time War” 2019 Amal El-Mohtar, Max Gladstone ISBN:4153350532 こうしてあなたたちは時間戦争に負ける (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:アマル・エル=モータル,マックス・グラッドストン早川書房Amazon はるかな未来、人類の子孫はふたつの勢力に分かれ、互いの消滅を目指して長い戦争を続けている。 ふたつの勢力〈エージェンシー〉と〈ガーデン〉はどちらも現在の人類から相当に進化した者たちだが、決定的に異なる技術・社会・思考様式を持っている。簡単に言えば〈エージェンシー〉はメカニカル、〈ガーデン〉はオーガニックといったところ。『翠星のガルガンティア』での「コンチネンタル・ユニオン」と「イボルバー」の対立構図ぐらいの相容れなさがある。 しかし彼らには共通点もある。それはどちらも時間跳

    エル=モフタール, グラッドストーン “こうしてあなたたちは時間戦争に負ける” - three million cheers.
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    murashit 2021/06/22
  • 三木那由他 “話し手の意味の心理性と公共性” - three million cheers.

    話し手の意味の心理性と公共性: コミュニケーションの哲学へ 作者:那由他, 三木発売日: 2019/12/16メディア: 単行 コミュニケーションにおける「意味」とは何か、という論考。 全体の構成が非常にわかりやすく、明晰な筆致。 ただ、扱うテーマがテーマなだけに、出てくる具体例がことごとく難しい……。解けたように見えた問題にあえて反論を出して精査することの繰り返しなので、具体例が難しくなるのは仕方ないのだが、なかなか理解できずもどかしい。とはいえ論旨は明瞭なので、全体についていくことには支障ない。 「意図」という、言ってみれば底なし沼のような概念を用いず「意味」を説明している。共同体での規範、多層な共同体、多様な発話要素など、動的で広がりのある結論。社会学的な視角という感じを強く受ける。ここでは話し手と聞き手という対で追究されているけれど、対話のなかで話し手と聞き手がどう入れ替わるのか

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    murashit 2021/01/04
  • “劇場版SHIROBAKO” - three million cheers.

    “劇場版SHIROBAKO” 監督 : 水島努 脚:横手美智子 2020 テレビシリーズから4年後の話。 SHIROBAKOの映画版はムサニが映画をつくる話になるんだろうな、と思ってたけど、その通りの内容。 だけど、物語開始時点の状況がこんなに厳しいというのは予想外だった。 元請をやれてない会社になってることよりも、前作の登場人物がことごとく離散状態みたいになってるところの方がショックで。アニメ業界ってそういう流動性があるものなのかもしれないけれども……。 とにかくテレビシリーズ最初のときよりもずっと厳しい状況。それは会議室での放送作品視聴人数の露骨な差に表れている。こうした対比は他にもあって、あらすじ説明のあとの編開始時、また社用車カーレースになると思いきやエンジンが停まってしまうという象徴的な描写とか。あるいは、ラジオから流れる曲の「仕方ない」とか「みんないなくなった」とかの歌詞も

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  • イーガン “ビット・プレイヤー” - three million cheers.

    “Bit Players and Other Stories” 2019 Greg Egan ISBN:4150122237 ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF) 作者: グレッグイーガン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 短編集。全6作品収載。 おおまかに分けると、近未来3編(“七色覚” “不気味の谷” “ビット・プレイヤー”)、遠未来2編(“鰐乗り” “孤児惑星”)、並行世界の過去&現在が1編(“失われた大陸”)、といったところ。 “七色覚 Seventh Sight”, 2014 “不気味の谷 Uncanny Valley”, 2017 “ビット・プレイヤー Bit Players”, 2014 “失われた大陸 Lost Continent”, 2008 “鰐乗り Riding the Crocodile

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    murashit 2019/04/08
    “遠未来における人類の末裔が実際にいれば今と何もかもが変容しててもおかしくないけれど、でもそんなわれわれとまったく連続するものがないのだったら、小説や文学は成り立ちづらくなってしまうし。”
  •  “SHIROBAKO” - three million cheers.

    自分のなかで2014秋アニメ最高作品だったのがこの『SHIROBAKO』。 2クールなので冬も継続して放映中だけど、あまりに好きすぎるので現時点で一旦感想を書いておきたい。……先日の第13話見たら2クール目も密度濃くなりそうだったので、1クール分について今メモしとかないとあとで書くこと飽和しそうってのもある。 もう誇張なしに各話最低3回以上ずつ見返してるぐらい好き。 概要 アニメ制作会社で働く人々を描いている作品。仕事群像物、といった感じ。 数過多で百花繚乱な最近のアニメ業界、その制作現場が舞台というところがもちろんまず大きく興味を引くポイント。アニメ作品はこういう人たちがこういうふうにつくってるんだ、っていうのが強いデフォルメほとんどなしで実態に沿って描写されてる。「監督」「演出」「撮影監督」「作画監督」「原画」「制作進行」…etc といったさまざまな担務はいったいどのようなことをおこ

     “SHIROBAKO” - three million cheers.
  •  弐瓶勉 “シドニアの騎士” - three million cheers.

    おもしろい。 アニメ第1話を見たあとに、現在まで出てるコミック全巻を一気読みした。 特徴 SFのベーシックな訴求的語彙・形式を潤沢に含んだ設定とストーリー。 遠未来。 外宇宙生命体に滅ぼされた地球。わずかに生き残った人間たちの恒星間播種船。 人体改変技術が普及。光合成、中性、不老不死。 ヘイグス粒子テクノロジー。 (←ヒッグス粒子…?) 敵との戦いを経るたびに次々と新機体が開発される機動兵器。 対話不能な敵。人類の身体や技術を模倣。連結体・巨大集合体。 ディテール過多な情景筆致。 メカニカルなものへのフェティシズム。 生理的忌避を引き起こす有機物の偏執的描写。 込み入った配線や配管を伴い、和/洋/新/古の混じり合う密度濃い建物・都市風景。 随所にある見開きの見せ場。迫力があって均整な構図。 緊張と弛緩が交互に来る展開。 誰もが突然退場し得る、予測不能で容赦ない生死状況。紙一重で危機をくぐり

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  •  ピーター・ワッツ “ブラインドサイト” - three million cheers.

    BLINDSIGHT” 2006 Peter Watts ISBN:4488746012, ISBN:4488746020 ブラインドサイト〈上〉 (創元SF文庫) 作者: ピーターワッツ,テッドチャン,嶋田洋一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/10/31メディア: 文庫この商品を含むブログ (26件) を見るブラインドサイト〈下〉 (創元SF文庫) 作者: ピーターワッツ,テッドチャン,嶋田洋一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/10/31メディア: 文庫この商品を含むブログ (18件) を見る なんか難しかった……。 小説の構図自体は明確。スタニスワフ・レムを思い起こさせるような、人間と極度に懸け離れた知性体とのファースト・コンタクト。違いすぎるので結局相互に理解し合うことはできない。(両者の何が違っているのか、というのがこの書の最大のテーマ。) この相

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  •  酉島伝法 “皆勤の徒” - three million cheers.

    皆勤の徒 (創元日SF叢書) 作者: 酉島伝法出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/08/29メディア: 単行この商品を含むブログ (31件) を見る これはすごかった。この何年かで自分が読んだSFのなかで洋邦問わずトップの位置に着床したと思う。 後述するけど、読むのに多大な労苦を不可欠とするような文章で、流し読むことは無理。でも遅々と進むその歩みごとに受ける刺戟は比類ない。 印象 大森望による巻末解説を最初に目にして、半信半疑ながらも興味が上昇したことが読み始めたきっかけ。 あなたが手にしている書『皆勤の徒』は、現代日SFの極北にそそり立つ異形の金字塔にして、SF的想像力の最長到達点を示す里程標である。 ……大絶賛。 皮相的なプロモーション・トークだったらここまで断言するのはむしろためらうはず。最高レベルの賞賛語句をこれだけ畳みかけられると、さすがにどう見ても物感が

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    murashit 2013/09/15
  •  大暮維人, 舞城王太郎 “バイオーグ・トリニティ” - three million cheers.

    バイオーグ・トリニティ 1 (ヤングジャンプコミックス) 作者: 舞城王太郎,大暮維人出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/04/19メディア: コミックこの商品を含むブログ (15件) を見るASIN:B00EJJNH6M [kindle版] 原作:舞城王太郎・作画:大暮維人。 舞城王太郎のことばや世界に、大暮維人のこの絵はすごく合うと思う。 物語の軸は最初の頃つかみづらい。そもそも世界設定と状況がまずわかりがたい。 でも絵のおかげで強引に進めていけてる感じ。 公道をバイク二人乗りで雑談的会話しながら走ってく横を戦車隊の布陣やら巨大クリーチャーと機動兵器の戦闘やらが並置されてて、でもそれでふつうに日常成り立ってる世界ですけど?的な。「なんでこんなことしてるの…?」とか「こいつらって何…??」っていう当然の疑問をとりあえず放置してそれでも進行していける漫画の力。 この1巻も序盤の核

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  •  円城塔 “コルタサル・パス” - three million cheers.

    短編。おもしろかった。 内容をひとことで言うと、現実/虚構という対置を「記述」「観察」という概念で相対化している話。 今後SFマガジンで連載するシリーズのプロローグとのこと。 用語 “コム” ・計算 computation と情報交流 communication の区別がない ・コムは言葉だけじゃなく身振りも伝える ・相手が非存在者である可能性 (この可能性は相対的でもある) ・多数決で自然法則を決めていくようなゲーム “叙述設定” ・まるで21世紀の人間が書いたかのような文章を記す演習 ・見方によっては、叙述設定なる代物はタイムトラベルそのものでさえある →SFにまつわる文体の問題を戯画化してる。つまり、「遠未来でも人は現在と同じような言葉遣いで会話/思考しているのか」という問題。大抵は「単に現在の言葉に翻訳されているだけ」というスタンスで処理されてるんだろうけど、でもこの作品ではあえて

     円城塔 “コルタサル・パス” - three million cheers.
  •  董啓章 “地図集” - three million cheers.

    “Atlas” 2012 Dung Kai Cheung ISBN:4309205895 地図集 作者: 董啓章,藤井省三,中島京子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/02/21メディア: 単行購入: 1人 クリック: 24回この商品を含むブログ (16件) を見る 香港という都市を舞台に「地図」という切り口で描かれた書物。 実在の地名・人名を散りばめ、観光ガイドには載っていない隠れた逸話のごとき事柄が次々と語られていく。 作者後記および訳者解説が言うところによれば、それらはもっともらしく記されているが単なる虚構にすぎないとのこと。でも、もしそうした情報がないまま読んだとき、自分が果たしてこの書の中の事実と虚構をきちんと峻別できるかどうかは確信を持てない。 さしあたり作中の地名はどれも実在のもののようには見える。実際に自分が香港に行ったときの記憶やウェブ上の地図で確認でき

     董啓章 “地図集” - three million cheers.
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    murashit 2012/04/17
    cf. http://d.hatena.ne.jp/owl_man/20120229/p1 メタボリズム/ニューヨークあたりが類比される感じなのか
  •  チャイナ・ミエヴィル “都市と都市” - three million cheers.

    “THE CITY & THE CITY” 2011 China Miéville ISBN:4150118353 都市と都市 (ハヤカワ文庫SF) 作者: チャイナ・ミエヴィル,日暮 雅通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2011/12/20メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 113回この商品を含むブログ (106件) を見る アイデアがとてもおもしろかった。 ふたつの都市国家が物理的にまったく同じ場所をそれぞれ占有しながら共存している、という舞台設定。――と書くと何が何だかわからない感じだけど、読み始めても実際にどういう事態になっているのか把握するまでしばらくかかる。 文化も制度も政体も完全に異なる別々の国。そんなふたつの国が、地理的に同じ範囲を共有している。相手は自分たちの目の前に同じように住んで生活しているはずなのだけど、お互いに、相手の存在がないものとして暮らさなければ

     チャイナ・ミエヴィル “都市と都市” - three million cheers.
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    murashit 2012/01/05
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