進化を続けるリチウムイオン電池:新材料の採用でポータブル電源、EV用途に対応可能に(1/3 ページ) 2年ほど前までは、リチウムイオン電池ではシステムの電力要件を満たせないケースも多かっただろう。しかし、リン酸鉄を正極として用いるリチウムイオン電池の登場により、状況は変化した。その実力は、設計者にリチウムイオン電池の採用について再検討を促すレベルにあると考えられる。 リチウムイオン電池に対する要件 これまで、リチウムイオン電池の進化の歩みは決して速いとは言えなかった。しかし、あまり代わり映えのしなかったその世界に変化が生じつつある。2年ほど前までは、ノート型パソコン向け製品に対する要求が、リチウムイオン電池パックの設計を決める要因であった*1)。それに対し、現在ではポータブル電源(コードレスで利用でき、持ち運びが可能な電力供給装置)が、ノート型パソコンに匹敵するほどリチウムイオン電池市場で