【マニラ=佐竹実】東南アジア各国が急速な人口高齢化に直面しつつある。インドネシアやベトナム、タイでは2050年までに65歳以上の高齢者の割合が約20%に達する見込みだ。アジア開発銀行(ADB)は労働力不足や社会保障費の増大を警戒。年金制度が維持できなくなる恐れがあると指摘している。東南アジアの高齢者の人口割合は現在、4~6%程度。高めのタイやシンガポールも9%前後だ。国連の推計によると、50年
(英エコノミスト誌 2012年9月8日号) アジアの多くの国が社会保障制度の構築に取り組んでいる。アジアは欧米の過ちから学ぶことができる。 アジア諸国はかなり以前から、そのダイナミズムで世界をうならせてきた。長年にわたる目覚ましい成長のおかげで、現代のアジアでは、歴史上のどの時代よりも多くの人々が絶望的な貧困から抜け出してきた。 だが、豊かになるにつれて、アジアの市民が政府に求めるものも大きくなっている。アジア全域で、公的年金、国民健康保険、失業手当などの社会的保護を求める圧力が増している。その結果、世界で最も活気にあふれる経済国は、単に富を築くことから社会保障制度の構築へとギアを入れ替えつつある。 富の創造から福祉国家の創造へ この変化のスピードと規模は驚くほどだ。インドネシア政府は昨年10月に、2014年までに全国民に健康保険を提供すると約束した。インドネシアは現在、世界最大の「単一支
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