(2013年6月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 山口洋氏がやりかったことは、ただパチンコ愛好者にコーヒーを販売することだった。だが、事業を立ち上げるためには、パチンコ店の店内でカートを押すことが衛生法に抵触しないことを厚生省に納得させなければならなかった。 大和証券出身の山口氏はそれから1年余りの時間を費やし、カートからホットドリンクを提供することが、強い酒や集団暴力に通じる道ではないことを県警本部長に納得してもらった。 それによって初めて山口氏は事業を立ち上げることができ、その会社は日本最大の民間保育所提供企業にして株式市場の人気銘柄であるJPホールディングスに姿を変えた。「非常にしつこいと言われましたよ」。現在52歳でJPホールディングス社長を務める山口氏は笑う。 山口氏は、安倍晋三首相が育てたいと思っているような起業家精神の手本だ。14日に閣議決定される予定の安倍氏の新成長