野田首相はTPP、日中韓FTA(自由貿易協定)、ASEAN(東南アジア諸国連合)に日中韓など6カ国を加えた東アジア地域包括的経済連携を同時並行で進めるとの指示を出しています。いずれも国内の推進力は弱いのではないでしょうか。 近藤:野田首相の立場は9月の民主党代表選のときから明確です。国益の確保を前提に、TPPと日中韓FTA、東アジア包括連携を同時に進めると明言しています。代表選の他の候補者は「TPPはけしからん」と言っていました。TPPも含めて同時に進めると言ったのは野田首相だけだったのです。 残念なことに安倍晋三総裁を中心に自民党もTPPには反対の姿勢を打ち出しています。野田首相は日本の主要な政治家のうちで唯一、TPPで前を向いていると言えるでしょう。 TPPであれ、日豪FTAであれ、行き着くところは農業問題です。自動車や医療問題などに論点を広げようとする識者もいますが、それは筋違いです