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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (311)

  • グローバル資本主義は「ユニクロ化」する

    ユニクロの親会社、ファーストリテイリングの柳井正CEO(最高経営責任者)が打ち出した「世界同一賃金」構想が波紋を呼んでいる。朝日新聞で報じられたインタビューによれば、新しい人事制度では「新興国や欧米の社員と共通の土俵で働きぶりを評価し、給与も全世界で統一する」という。 すでに欧米や中国などで店長候補以上と役員をすべて「グローバル総合職」とし、19段階の「グレード」ごとに賃金を決めた。このうち執行役員クラス50人は、どの国でも同じ評価なら報酬や給与を同額にした。年収は最低2000万円で、最上位は柳井氏の4億円だという。 このとき柳井氏が「年収1億円と100万円に分化していく」とのべたことが話題を呼んだが、一般の社員まで世界一律になるわけではなく、「各国の物価水準を考慮する」と書かれている。購買力平価でみると、中国の100万円は日の1000万円以上になるので、日は100万円にはならないだろ

    a1ot
    a1ot 2013/05/09
    『資本主義がグローバル化すると、世界の労働者の賃金が生存最低限の国に近づくという未来像は、1848年にマルクスとエンゲルスが『共産党宣言』で予告したものと似ている』
  • 「世界一見苦しい街」に隠された美を探して

    今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ [4月16日号掲載] 先月、帰りの成田エクスプレスの車内から10日ぶりに東京の街を眺めて、私は思った。「東京はきっと世界一見苦しい街だ!」と。ほかの世界都市から戻ってくるたびに、そうした都市と比べて東京は野蛮で無節操で味気ない感じがする。 今回はローマから戻ったのだが、何も東京がいきなりローマみたいな街になって、完璧な町並みに噴水やカフェテラスがあるなんて期待していたわけじゃない。それでもごちゃ混ぜに立っているビルを見たら、座席に身を沈めて、東京がルネサンス期に大理石で造られていたら、などと想像してしまった。時差ボケでぼんやりしたまま、東京にもミケランジェロのような人物がいたらよかったのにと考えた。 例えば東京には街を一望できる場所がない。ローマのような立派な広場もなければ、パリのようなロマンチックな橋もない。ニューヨークやロンドンでは、周囲を見回し

  • サッチャリズムが、現代日本の参考には「ならない」3つの理由

    マーガレット・サッチャー元英首相の訃報に接しました。87歳ですから大往生ですし、認知症の発症を公表してからの「静かなお別れ」の期間も十分にあったと思います。その間には、「盟友」とされたロナルド・レーガン元米大統領の死(2004年)という事件があり、その国葬に参列するにあたっては元気な時代に書いておいた弔辞を公表するというエピソードも思い出されます。 ちなみに、この「引退後のサッチャー氏」に関しては、メリル・ストリープが演じてオスカーを取った "The Iron Lady"(邦題は『マーガレット・サッチャー~鉄の女の涙』、フィリダ・ロイド監督、2011年)という映画が作られています。賛否両論の激しかった彼女の政策や政治手法のフラッシュバックと、老いて衰えた同氏の姿を重ねることで、「バランスを取る」という不思議なアプローチの演出がされており、映画としては特殊な、そしてやはり政治的な作品だと言え

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    a1ot 2013/04/09
    『第2次大戦後の英国は、女王を含めた支配階級の合意によって「植民地の独立」と「帝国主義的権益の放棄」を国策としていた。70年代の後半の時点で過去の権益は吐き出してしまっていて十分に貧しくなっていた』
  • アルジェリア人質事件「真に安全を確保するために」

    2月21日、経済同友会が外務省に提言を提出した。テーマは、アフリカ。これまでNGOやボランティアの活動の場というイメージからすれば、アフリカが財界の提言対象になるのには、意外な感があるだろう。だが、アフリカ諸国の資源、成長する経済がますます重視される一方で、近年中国アフリカに急速な勢いで進出。提言で指摘しているように、アフリカは「援助先ではなく投資対象」として、日企業の関心が高まっているわけだ。 この提言が目を引いたのは、まず先般のアルジェリアでの人質事件を踏まえているということ、そして海外で活動する日人の安全確保に「人材育成が必要」としていることだ。人材育成のために留学生や研修生をどんどん受け入れたり、日から専門家を派遣すべき、と述べている。アルジェリア事件を受けて「危険=テロ=自衛隊に任せろ」的議論が蔓延しがちななか、思わず「正論」に拍手した。海外での安全確保は、軍事力よりもま

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    a1ot 2013/02/23
    『日本の弱さは東京で誰でも手に入る現地情報を地道に収集翻訳し、分析するシステムができていないこと』『日本語はできないけど日本の大学で学びたい、といった途上国の学生を教育する準備はほとんどできていない』
  • ボーイング787の初期不良、日本の部品が原因というのは「濡れ衣」ではないのか?

    ボストンのローガン空港でのJAL機の2日連続でのトラブル、そして16日に高松に緊急着陸したANA機のトラブルと、ここへ来てボーイング787「ドリームライナー」はトラブルが続いています。一連の問題に関しては、その多くが電池からの発火であることもあって、日製の電池に問題があるような報道がされています。 ですが、私はそうではないと考えます。 私は航空機の専門家ではありませんが、電気自動車やハイブリッド車に関わる電池の技術については、ここ数年ずいぶんと勉強して来ています。以下は、そうした私の理解をベースにした私見です。また、仮に新しい事実が明らかになり、訂正が必要になった場合は速やかに対応する予定です。 まず発火したJAL機の電池、そして同じく発火して高松に緊急着陸したANA機の操縦席床下に供えられていた電池は、報道によれば、いずれもGSユアサ製のようです。この「リチウムイオン電池」に関しては、

  • アルジェリア拘束事件の背景にあるマリ戦争

    突然の事件に、驚いた。アルジェリアでの日人拘束事件である。 13年前、凄惨な内戦に一応の終止符を打ち、一昨年の「アラブの春」では周辺国で政権が次々に倒れていくのを横目で見ながらも、アルジェリアのブーテフリカ政権は健在だ。反政府デモは少なくないが、原油輸出額は2003年以降急速に伸びていまや内戦時の七倍近く、経済成長率もここ数年2~3%と、悪くはない。今回被害にあった日揮をはじめ、伊藤忠、三井、三菱など、日は70年代から大手商社がアルジェリア向けに大型の建設プラントを輸出してきた。 そのアルジェリアで何故このような事件が起きたのか。それは、隣国マリの状況と連動しているに違いない。マリでは1月11日、マリ北部の反乱勢力を抑えようとする政府軍の要請を受けて、フランスが軍事介入、戦争状態に突入したからである。 マリ戦争の原因は、複雑だ。メディアが伝えるような、「北部=イスラーム過激派=アルカー

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    a1ot 2013/01/17
    (・_・;「フランスが期待するアルジェリア。内戦を乗り越え、対テロ戦争の経験を持つ同国に、なんとかマリ戦争で主導的立場に立って欲しい。今回の事件は、そのアルジェリアへの「警告」なのだろうか…」
  • 従軍慰安婦問題、いわゆる「河野談話」の訂正は可能か?

    安倍政権がいわゆる従軍慰安婦問題に関して、「軍の強制連行があった」とする「河野談話」を見直すかもしれないという報道に関しては、韓国だけでなくアメリカの政界やジャーナリズムによる関心も高まっています。 この問題に関する事実関係に関しては、私は池田信夫氏が様々な史料を参照しながら丹念に調査を続けて来た結論、つまり「軍による強制連行はなかった」という立場を取ります。 では、問題になっている河野談話を訂正すればいいと考えるのかというと、こちらはそうは簡単ではないと考えます。この点に関しては、日の政界や世論には根的な誤解があり、注意深い議論をしないと、日の国益を大きく損なう危険があるからです。 誤解というのは、「軍による強制連行はなかった」という訂正に成功したとしても、全く「日の名誉回復にはならない」ということです。一言で言えば「強制連行はしなかったが、管理売春目的の人身売買は行なっていた」

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    a1ot 2013/01/08
    「旧軍に対して過剰なまでに名誉回復を追求すると、まるで日本の『国体=国のかたち』が戦前戦後で同一であるような誤解を与える。現在の日本も軍国日本と同一の枢軸ファシストと理不尽な批判を勢いづかせる
  • アメリカの外食産業に過労死がない理由とは?

    大前提として客も店も細かいことはゴチャゴチャ言わないし、とりわけ中堅以下の企業化されたファミレス系やファーストフード系に至っては、サービスの水準はかなり低いという問題があるわけです。その点では、日とは全く別世界で比較の対象にはならないのですが、個別の問題では参考になる点もあると考えて箇条書きにしてみました。 (1)役割分担がハッキリしています。例えば、注文を取るのは「サーバー」、最初に接客して客をテーブルに誘導するのは「ディスパッチャー」などという「専任」ですし、料理を運んだり皿を下げる専門の「アシスタント」など接客だけでも細かく分かれています。厨房の中も役割分担が明確です。 (2)職務内容は契約書で明確になっています。ですからコストカットのために、ある仕事を他の人間にカバーさせるなどということは不可能です。また契約に書いてあることは双方が履行しなくてはなりません。野球の井川慶選手がヤン

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    a1ot 2013/01/05
    同じ外食産業といっても労働契約や労務管理に関しては全く日本とは事情が違います。ですが、こうした要素一つ一つが「ブラック性」であるとか「過労死」という方向性とは反対の作用をしているのは事実だと思います
  • 尾崎豊の再評価が不要な理由

    アメリカには成人式というものがありません。18才で法的に成人する若者に、社会全体で期待をしたり説教をしたりという習慣はないのです。成人式的なメリハリは宗教が担っているという理由もありますが、もしかしたら世代ごとに世界観の論争をしたり、反抗と抑圧の抗争をしたりというカルチャーが弱いからかもしれません。そもそも核家族イデオロギーが機能する中で親子が比較的仲が良いということもあると思います。それがアメリカの強さと弱さを輪郭づけています。 そんなアメリカとの比較で言えば、日から聞こえてきた成人式の日の「今の若者に尾崎豊のような反抗を期待」するという朝日新聞の社説と、その社説を批判した常見陽平氏の『「成人式はバカと暇人のもの」若者に「尾崎豊」を強制するのはやめなさい』というアゴラの記事を巡る論争は大変に興味深く思えました。 尾崎豊と言えば、校内暴力の時代の「反抗カルチャー」の象徴とされています。常

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    a1ot 2013/01/04
    「今、日本社会が直面しているのは一種の撤退戦です。国際競争の中で負けた部分を放棄しながら、何とか生き残るために必死に戦うというのが、現在の「大人」の姿ではないでしょうか?」
  • 報じられなかった山中教授の快挙

    京都大学の山中伸弥教授は幹細胞の研究に没頭していた。だが従来の胚性幹細胞(ES細胞)は受精卵を壊して作らねばならず、倫理的な問題に触れるのは避けたい。そこで彼が開発したのが、06年に米科学誌セルで発表したiPS細胞(人工多能性幹細胞)。iPS細胞は皮膚などの体細胞から作製でき、受精卵を破壊することなく作れる万能細胞だ。 この発見で山中は先週、ノーベル医学生理学賞を受賞した。だが授賞を発表したノーベル賞委員会も、その後の報道も山中の功績の半分しか語っていない。山中の挑戦は実験室だけにとどまってはいなかった。それは倫理観への挑戦でもある。 07年のニューヨーク・タイムズ紙の記事によれば、山中が自身が探るべき研究の道を決めたのは、友人不妊治療クリニックで受精卵を顕微鏡で見たときだった。「その受精卵と私の娘たちに、どれだけ大きな違いがあるのかという思いが芽生えた」と、山中は振り返る。「もう研究の

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    a1ot 2012/11/15
    山中があの論文を発表して注目を集める前から、人工妊娠中絶反対派(生命は受精したときから始まるとの立場)は彼の研究を熱烈に支持していた。ローマ法王庁も何年も前から期待を込めて彼の研究を見守ってきた。
  • エクアドルがアサンジ亡命を認めた理由

    政治亡命を申請したウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジの亡命を認めると先週発表したエクアドル政府。ただアサンジはスウェーデンで女性2人に性的暴行を加えた容疑で10年に逮捕され(現在は保釈中)、スウェーデンへの移送が決まっており、英政府は出国を認めない構えだ。 エクアドルの狙いは国際的なイメージアップと、アメリカ(ウィキリークスの主要な標的)、イギリス、スウェーデンに対する嫌がらせとみられている。いずれも5月の国連人権理事会でエクアドルの「報道の自由」に懸念を表明した国々だ。エクアドルでは大統領に批判的なジャーナリストが「名誉毀損」で訴えられ、今年に入って17の報道機関が閉鎖されている。 ネットの普及に伴って検討中の包括的な新通信法についても、ユーザーのプライバシーを侵害する可能性がある。ネットの自由を擁護する国際NGOによれば、むやみに監視に利用され、表現の規制などの人権侵害につながる