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ブックマーク / www.anlyznews.com (58)

  • 産経世論調査を笑う前に

    統計学を学ぼう。ask.fmで『産経世論調査を巡る毎日との批判合戦で産経が「自爆」(笑)』と言うエントリーを紹介されたのだが、毎日新聞・平田崇浩氏が恐らく「意義」を「有意性」と書き間違えて産経新聞の記事への批判を行い、産経新聞・酒井充氏もポイントの掴みづらい反論を行い、そしてブログ主のkojitaken氏が、統計的な有意性が何かを理解しないまま、産経新聞をアホと笑っている。 1. なぜか議題になった百分率の表記 統計的に有意とは、仮定する分布からは観測値が偶然であるとは言い難い確率で生じるとき、つまり有意水準以下であるときに言う。平田氏が「参加したと答えた推定人数わずか34人を母数に、支持政党の内訳をパーセンテージで、しかも小数点以下まで算出することに統計的な有意性はほとんどない」と指摘しているわけだが、意味不明である。「有意性」は「意義」の書き間違いでは無いであろうか。 酒井氏も「産経・

    産経世論調査を笑う前に
  • 新型軽減税率もしくは消費税還付制度の問題

    各方面から軽減税率が反対される中、財務省が“新たな方式の軽減税率”を提案し(NHK)、自民党の税制調査会も承認したようだ(NHK)。早くも公明党が実は軽減税率ではないと気づいたようだが(読売新聞)、特定品目、つまり外サービスを含む料品を対象にした消費税還付制度になっている。払った消費税のうち2%分を一人年額4000円を上限に還付されるそうだ。ある点を除けばそう悪い案ではない。ある点が致命傷な気がするが。 世間では無視されるであろう、新方式の良い点を説明しておこう。軽減税率には色々と問題があるのだが*1、その中で、政府内で検討されているような対象品目では、多かれ少なかれ価格に歪みを与えて同じ税収なのに低い生活満足度をもたらすと言うのが、ラムゼイの最適課税論による教科書的な議論だ*2。スポーツ・ジムで運動した方が健康になれる人が、相対的に価格が安くなった菓子をべ過ぎてしまう状況を想像して

    新型軽減税率もしくは消費税還付制度の問題
    a1ot
    a1ot 2015/09/09
    「何だかんだと最低でも年間20万円ぐらいは食費に使っている。ほとんどの国民は還付上限に達する。ほぼ全員が等しく給付金を貰うのに、煩雑な事務手続きが必要になっている。現行案は実利より儀式を優先している
  • 中国脅威論を言い出した安倍総理は新安保法案を理解していない: ニュースの社会科学的な裏側

    現在参議院で審議されている安全保障法制だが、主唱者の安倍総理が法案を良く理解していない可能性が高まってきた。7月28日に中国脅威論を持ち出してきた*1のだが、それが問題となっている集団安全保障の部分とはほとんど関係が無いように思えるからだ。この法案では南シナ海で中国に対抗する術が無い。それどころか東シナ海での動きにも、具体的な対応は書かれておらず、実際のところ無力だ。安倍総理は、ネット上に多数いる法案を読みもせず対中国だと言っている人に騙されてしまっていないであろうか。 1. 東シナ海で無力 新安保法案、かなり多岐に渡る内容を同時に改正しようとしているのだが、東シナ海での中国の動きに対応している部分を見ると、「事態の的確な把握」「事態への対処」「迅速な閣議手続等」「事案発生前からの緊密な連携等」とあるが、具体的な所は何も無い。例えば「我が国の領海及び内水で国際法上の無害通航に該当しない航行

    中国脅威論を言い出した安倍総理は新安保法案を理解していない: ニュースの社会科学的な裏側
  • 世論調査とは何だろうか ─ 斜めに見るとバイアスに悩まされるもの

    政治談議が大好きなおっさんはこの世に多いが、声が大きい人の話が多数派の意見とは限らない。彼らが信頼おけないとして、自分の感性が世間の感性と思い込めるほど能天気でもない。やはり世間の皆様が社会や政治にどう言う見解を持っているのか、知りたいわけだ。そこで世論調査に頼ることになるわけだが、意外に世論調査がどういうものか分かっていない人は多い。そういう人に向けたを、NHKで世論調査に携わってきた岩裕氏が書いている。『世論調査とは何だろうか』は、ある部分の記述を除けば、全般的にオススメできる良書だ。 民主制度の政治家は、選挙によって有権者の支持を確認するわけだが、選挙結果によって得られる情報は限られている。有権者が特定政党の選挙公約の全てを支持しているとは限らない。有権者の意向を知ると言う意味では選挙に限界はあり、それを補うものとして世論調査が機能しており、政権の命運を左右するものにもなっている

    世論調査とは何だろうか ─ 斜めに見るとバイアスに悩まされるもの
    a1ot
    a1ot 2015/09/06
    「ケータイ電話しか持っていない世帯は抜けてしまう。ケータイ電話にかけたとしても応答してくれる人に偏りが出る。リアルタイム性を重視し過ぎて、平日の夜だけの調査になってしまっていて、忙しい会社員が漏れる
  • 僕だけ実刑というのは不公平?ホリエモンの起こした罪が重い5つの理由

    2005年に発生した経済事件の主犯である堀江貴文氏の刑が昨日、ほぼ確定した(産経ニュース)。有価証券報告書の虚偽記載、偽計取引・風説の流布で、懲役2年6ヶ月の実刑判決だ。 有価証券報告書の虚偽記載で実刑判決は異例の重さなので、堀江貴文氏は「僕だけ実刑というのは不公平」と主張しているようだが、ライブドア事件は過去の事件と比較しても異例となるので、判決が重いのはやむを得ない。 1. 明白に違法な稚拙な手法 自株売却益を利益として帳簿に記載し、買収予定だった2社の預金を売上高に計上するなど、明白に違法な手段を用いた。上場企業の経営者なのでP/LやB/Sの違いは理解しているはずだし、港陽監査法人と監査契約を結んでいたため、無知を理由に免罪とはいかない。 自株売却益の帳簿記載は、2001年に資取引になる事は会計士協会から監査法人などに通達があり、事件当時に損益計算書(P/L)に計上する利益にならな

    僕だけ実刑というのは不公平?ホリエモンの起こした罪が重い5つの理由
    a1ot
    a1ot 2015/08/16
    「2009年8月に、ジャスダック上場していたプロデュース社前社長佐藤被告も、懲役3年、罰金1000万円の実刑判決を受けており、堀江氏への判決は、その後の裁判では踏襲されている
  • 曽野綾子のコラムが暗示する問題

    産経新聞の作家・曽野綾子氏のコラム「透明な歳月の光」が、反感を呼んでいる。コラムでは、高度な日語能力も専門知識も要らない介護のために労働移民を受け入れるべきだが、文化ギャップがあるので法的に居住地は別にすべきと主張している。根拠は何十年か前の南アフリカの話のようだ。 ツッコミ所は多い。定住を前提とした移民では無く、出稼ぎ外国人労働者の受け入れの話な気がするし、介護職に高度な日語能力や専門知識が要らないわけでは無いであろう。簡単な英会話ができない日人も多いことを考えると、簡単な日語の習得も曽野氏が言うほど容易ではない。在日韓国・朝鮮人一世の生活苦の最大の理由は日語であろう。何よりも憲法第二十二条や人種差別撤廃条約はどこへ行った? 以前からこういう傾向があるので、いまさら驚くべき所は無い。そもそも感性に頼っていて、多面的な情報には接していない人は、世の中に多くいる。問題は、曽野綾子氏

    曽野綾子のコラムが暗示する問題
    a1ot
    a1ot 2015/03/10
    「介護職に高度な日本語能力や専門知識が要らないわけでは無いであろう。簡単な英会話ができない日本人も多いことを考えると、簡単な日本語の習得も曽野氏が言うほど容易ではない」
  • アベノミクスで雇用が増えたと言えるのか?

    アベノミクスで雇用が改善されたと言うリフレ派の人々の話を見かけることがある。就業者数の推移を指して、ある時点から減少から増加に転じたことを指しているのだが、アベノミクスの効果と言うのは無理がある。(1)グラフをよく見ると2012年9月が底になっている。(2)雇用は景気の遅行指数である。(3)景気一致指数の有効求人倍率を見ると、2009年の後半からずっと改善し続けている。 1. 就業者数が増加に転じるのは2012年9月 アベノミクスがいつから始まっているかについては、三案あるようだ。(a)野田総理が解散総選挙を決定した2012年11月14日、(b)第二次安倍内閣が発足した2012年12月26日、(c)黒田バズーカこと異次元緩和が公表された2013年4月4日。(a)と(b)は無理がある気もするのだが、政策が何も無くてもインフレ期待が高まれば良いと言うことらしい。 就業者数の推移を見てみると、2

    アベノミクスで雇用が増えたと言えるのか?
    a1ot
    a1ot 2015/01/25
    「消費税率の引き上げ後も雇用の改善が続いていると言うと、リフレ派の人々は雇用は景気の遅行指数と指摘する。有効求人倍率は、2009年の後半からずっと改善し続けている」
  • 今後10年の経済成長は単純予想で年率0.6%

    ネット界隈では、低成長を前提に話を進めると反成長派と罵られる事が多々ある。そもそも成長が嫌なのか、成長を諦めているのかは違うと思うのだが、過去の傾向から単純な計算を行なうと、そう高い経済成長率は期待できない。年率0.6%ぐらいになる。今までの傾向がしばらく続くと思うのは常識的な態度であるから、低成長を前提にするのを非難するのは不当であろう。 過去14年間の生産年齢人口ひとり当たりの実質GDP成長率は年率1.47%だった*1。今後10年間は年率0.86%の人口減少が予想される*2。この二つの数字から計算すると今後10年間のGDPは、年率0.6%成長になる。過去14年間の1%より低い。 経済政策によって、実質GDP成長率を高めることはできるかも知れない。リフレ派、上げ潮派の考えはこうであろう。しかし、そうは大きくはなりそうにない。政府目標の実質2%成長の実現でさえ、かなり甘い想定に基づいている

    今後10年の経済成長は単純予想で年率0.6%
    a1ot
    a1ot 2015/01/14
    「過去14年間の生産年齢人口ひとり当たりの実質GDP成長率は年率1.47%だった。今後10年間は年率0.86%の人口減少が予想される
  • 株式市場は消費税率を気にしていない

    uncorrelated ソフトウェア・エンジニアJava JavaScript PostgreSQL Oracle 等を使っています。Oracle Certified Professional。Sun Certified Programmer。 詳細プロフィールを表示

    株式市場は消費税率を気にしていない
    a1ot
    a1ot 2015/01/08
    「リフレ派を名乗る人々は株価を持ち出してアベノミクスを評価する発言を繰り返していたわけで、消費税に関しても株価を参照しないのはダブルスタンダード。また、雇用者数に言及していたが、増税後も増えている」
  • 豊かな国の人々は途上国のために寄付をしましょう、させましょう

    哲学界隈の存命研究者ではピーター・シンガーと言う倫理学者が有名で、動物の取り扱いや妊娠中絶、安楽死などの現代的な倫理問題において多くの著作を持つ功利主義者だそうだ。そのシンガーが先進国の豊かな人は奢侈を抑制し、世界中の恵まれない人のために寄付をしましょう、寄付をするべきですと説いているが『あなたが救える命: 世界の貧困を終わらせるために今すぐできること』だ。趣旨に賛成はしないのだが、学者ではない人にも読みやすい構成で、用意周到に寄付にまつわる議論がカバーされており、良く調べているなと関心する。 1. 意外に直感的な倫理 一般書なので読者の心を掴むことに配慮されている一方で、公理から演繹するような議論は敬遠されている。例示によって、多少の自己犠牲を払ってでも他者を助けるのは望ましいと感じる事が、先進国の豊かな人々が開発途上国の貧しい人々を寄付によって助けるべき論拠として挙げられている。現代

    豊かな国の人々は途上国のために寄付をしましょう、させましょう
    a1ot
    a1ot 2015/01/03
    「東アジアの奇跡から、出生数を抑制して一人あたり資本装備率を上げ、直接投資を呼び込むことも有益だと分かる」「功利主義的に、途上国の政府の無能を、途上国の困窮者に負わせる理由にはならないのは分かる」
  • 田中秀臣とGDPデフレーターとおバカさん

    ask.fmの質問で知ったのだが、「金融緩和がデフレーターに影響無いことも明らかですし」と言う発言に対して、経済学史が専門の田中秀臣氏が「なに、このおバカさん? 頭が悪いと統計データも素直にみれないのか 笑」と言って、(タイトルがおかしい気がするが)GDPデフレーターの昨年比のグラフを貼っていた。2014年第2四半期から跳ね上がっている。明らかに消費増税の影響を補正していない。 「金融緩和がデフレーターに影響無いことも明らかですし。」 なに、このおバカさん? 頭が悪いと統計データも素直にみれないのか 笑。 pic.twitter.com/s5rMreAUEe — 田中秀臣 (@hidetomitanaka) 2014, 12月 30 消費税の影響がどの程度かが問題になるが、内閣府の資料などを見ていると1.4%程度、かさ上げしていると見ているようだ*1。2014年Q2以降のGDPデフレーター

    田中秀臣とGDPデフレーターとおバカさん
    a1ot
    a1ot 2015/01/01
    「GDPデフレーターは円安になると最初は低下し、元の水準に戻っていく性質
  • あるマルクス経済学者のプロパガンダ(13)

    マルクス経済学者の松尾匡氏の連載『リスク・責任・決定、そして自由!』の新記事『固定的人間関係原理から見た解釈の矛盾──新自由主義と「第三の道」の場合』が出ていた。ざっと眺めてみたのだが、この連載がプロパガンダであって、そうでしかない特徴がよく出ていると思う。 松尾匡氏の主張は、固定的人間関係を前提としたナショナリズム思想で、流動的人間関係を前提としたグローバル化を促進すると無理が出ると言うものだ。これを小泉パッケージと命名して、批判している。大きな枠だけ書くとそれらしいように聞こえるが、細部を見ていくと単なる藁人形論法に思える。 1. ナショナリズムは固定的人間関係を前提としていない 民族と言う小さな枠ではなく、国家と言う大きな枠による社会システムを指向するのもナショナリズムの一つになり、戦後はリベラルがナショナリズムを支持していた時代もあった(関連記事:安易に民族やナショナリズムを語るの

    あるマルクス経済学者のプロパガンダ(13)
  • 補足:リフレ派が知るべきアジア通貨危機の影響

    前回のエントリー「リフレ派が知るべきアジア通貨危機の影響」についた質疑について考察をしてみたい。(1)製造業従事者数の減少は長期低落傾向の上にあるのではないか、(2)アジア通貨危機ではなく為替レートの影響が大きいのではないか、(3)輸出よりも国内消費の影響の方が大きいのではないか、(4)1997年と2014年は同様の経済状況ではないかの4点になる。 1. 製造業従事者数の減少は長期低落傾向の範疇では? この指摘に対する答えはYESではあるが、アジア通貨危機の影響が軽微であった事にはならない。たまたま長期低落傾向から外れていたのが1997年後半から補正されたとも言えるが、通貨危機が強力な補正圧力になったとは言えるからだ。製造業従事者数の推移を確認してみると、バブル崩壊と円高の影響が1996年ぐらいに終わって安定したかのように見える(下図)。この2年ぐらいの傾向を転換したのだから、十分に影響は

    補足:リフレ派が知るべきアジア通貨危機の影響
    a1ot
    a1ot 2014/12/25
    「1997年はバブル経済の清算が上手く行かず、外的ショック(アジア通貨危機)に弱くなっていた」
  • リフレ派が知るべきアジア通貨危機の影響

    円安で輸出が伸びて景気が回復すると言うリフレ派の多くは、アジア通貨危機があったのにも関わらず、1997年から長く続く経済の不調が消費税率引き上げが起因だったと信じている。しかし、失業率が1998年から2002年まで急激に上昇していくのだが、産業別就業者数推移*1を見てみると、消費税の影響を受けない輸出に依存している製造業から先に雇用が減っていく。これに対して消費増税の影響は製造業の方が大きく受けると言う主張をしてきた人がいるので、輸出額と製造業雇用者数の関係を確認してみたい。1998年1月から輸出が低迷していき、同時に雇用者数が減少することから、雇用が国内要因で減り始めたとは言い難い事が分かるはずだ。 アジア通貨危機は1997年7月にタイから始まり、その混乱は2000年ぐらいまでは続いたのだが、1998年1月から影響を受けると言うのはタイミングが遅いように感じるかも知れない。これは輸出金額

    リフレ派が知るべきアジア通貨危機の影響
  • 正規雇用の減りっぷりについて

    ► 2024 (31) ► 7月 (12) ► 6月 (1) ► 5月 (2) ► 4月 (4) ► 3月 (8) ► 2月 (3) ► 1月 (1) ► 2023 (71) ► 12月 (7) ► 11月 (2) ► 10月 (4) ► 9月 (10) ► 8月 (6) ► 7月 (6) ► 6月 (8) ► 5月 (5) ► 4月 (2) ► 3月 (6) ► 2月 (9) ► 1月 (6) ► 2022 (88) ► 12月 (3) ► 11月 (3) ► 10月 (7) ► 9月 (5) ► 8月 (9) ► 7月 (8) ► 6月 (9) ► 5月 (8) ► 4月 (8) ► 3月 (10) ► 2月 (11) ► 1月 (7) ► 2021 (64) ► 12月 (5) ► 11月 (6) ► 10月 (9) ► 9月 (4) ► 8月 (7) ► 7月 (10) ► 6月

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  • 日銀がリフレーション政策を嫌がる理由

    リフレーション政策に期待する人々から見ると、なぜ日銀がリフレ政策を行わないかは疑問らしい。日銀総裁の知性を批判する人々さえ見かけなくも無い。 しかし、リフレ政策を推進する高橋洋一嘉悦大学教授や飯田泰之駒澤大学准教授は、リフレ政策に対して、日銀行が何を考えているかを説明する事は無いようだ。逆に池田信夫らリフレ政策に反対する経済評論家が日銀の関心事項を詳細に説明しているかと言うと、そうでもない。 日銀が公式にその理由を発表する事が無いからではあるが、議論の整理のために簡単に考察してみよう。誤解が無いように確認しておくが、インフレ・ターゲティングではなくて、リフレーション政策をどう考えているかだ。 1. 流動性の罠にあると量的緩和に効果は無い 効果が無いと見ているのは確かだ。日銀、つまり白川総裁は人口高齢化による低成長が期待インフレ率を押し下げており、流動性の罠にはまっていると考えている。過去

    日銀がリフレーション政策を嫌がる理由
  • 量的緩和でインフレ目標に到達するためには

    ゼロ金利下での量的緩和の効果が無いか薄いと言うと、僅かな効果でも大量に行なえば良いと言う人が出てくる。効果量の小ささを実感できないようだ。僅かな効果があるとして、どれぐらい日銀が国債を買えば良いのか計量分析結果から検討してみた。1年間で377兆円を超えるペースで国債を買い続ければ良いらしい。国債発行残高が780兆円で日銀が既に200兆円を保有していることを考えると、インフレ目標に到達しても維持ができない無理なゲームとなっている。 推定方法を説明しよう。まず、日銀行時系列統計データ検索サイトのデータのマネタリーベース(MB)増加率とマネーストック(MS)増加率の関係をVECMモデルで推定し、MSのMBに対する弾力性を推定した。分析期間は2003年4月から2014年11月まで。ラグはA.I.Cにより9期を選択している。水準でやるべきな気もするのだが、水準では統計的な有意性が無い。なお単位根は

    量的緩和でインフレ目標に到達するためには
  • 消費税率引き上げで若者の負担は減る

    「年金給付を削らずに消費税だけ増税したら、その負担はいまの若い人に重くかかる」と言う話を見かけた。消費税率を引き上げた分だけ、制度的に年金給付額も増えると言う指摘のようだが誤りだ。今は平成16年改正で、消費税率引き上げのような賃金上昇なきインフレは、年金給付額を引き上げないようになっているからだ。 公的年金はわかりづらい制度なのだが、『厚生年金・国民年金 平成16年財政再計算結果(報告書)』の第3章の3節(特に第3-3-2図、下に転載)を読むと概要が分かる。68歳未満の未裁定者、68歳以上の既裁定者で調整方法が異なるのだが、物価>賃金>0のときは年金上昇率は両方とも賃金にあわせられる。消費税率引き上げは、今の年金生活者が受け取る年金にも影響するわけだ。 なお、物価スライド特例でデフレなのに給付額が削減されなかった分は、それが解消されるまで給付は維持される。また、当面は給付水準調整期間として

    消費税率引き上げで若者の負担は減る
    a1ot
    a1ot 2014/12/16
    「賃金上昇を伴うインフレでは現役世代の負担は減らないが、賃金上昇を伴わない消費税率引き上げでは減ると言うのは意外な話かも知れないが、公的年金はそういう制度になっている
  • マネタリーベースとマネーストックのグラフの描き方について

    定期的に描いてはツイートしているマネタリーベースとマネーストックの推移の二軸グラフに関して、「高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門」と言うブログを書いている菅原晃氏が色々と質問してきた。しかし菅原氏から質問してきたのに、「もう不毛なやり取りはご遠慮願います」と言って関連するツイートを全部消されたので、文句を言いたかったのであろうけれども納得したのか分からない。やはり納得できないといわれたときのために、説明をまとめておきたいと思う。 元のグラフは以下のとおりで、マネタリーベースが急激に変化しているのに、マネーストックは安定的に推移している。両者に強い関係があったら、もっとマネタリーベースのトレンドに変化があるはずだ。

    マネタリーベースとマネーストックのグラフの描き方について
    a1ot
    a1ot 2014/12/14
    「ゼロ金利制約下でマネタリーベースの増加に効果が無い事は常識的な事項。量的緩和はすごく大きな効果はなかった。緩和縮小もすごく大きな効果はありそうにない
  • アベノミクスの大前提はイマイチな状況

    消費増税延期の是非を問う選挙だったのが、いつの間にかアベノミクスの是非を問う選挙になっていた第47回衆議院議員総選挙だが、どうも野党の選挙戦略もしくは経済音痴のせいで、アベノミクスの大前提に対する批判が甘いような気がする。大前提と言うのは、金融政策の転換と言う第一の矢に何らかの効果があったと言う所だ。まずはこれを確認するために、マネーストック統計について言及しなくて良いのであろうか。 銀行の融資活動を反映し、インフレ率や為替レートなどに大きく影響するのは、中央銀行が供給しているマネタリーベースではなく、市中銀行の預金残高などを表すマネーストックだ*1。マネタリーベースを増やせばマネーストックが増えると言う主張もあるのだが、それはゼロ金利になる前の経験則に過ぎないから、やはりマネーストックの状態を見る必要がある。マネーストックが増えないと、金融緩和の効果があったとは断言しづらい。だからマネー

    アベノミクスの大前提はイマイチな状況
    a1ot
    a1ot 2014/12/12
    「安倍政権前に比べて米国の長期金利が上昇している。貿易赤字が持続的に続いている