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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (9)

  • 結婚のスゴ本

    今の amazon が逆立ちしても勝てないものがある。例えば「結婚」だ。 試しに「結婚」で検索しよう。(あなたの予想通り)ハウツーやエッセイになる。タイトルや解説のどこかに「結婚」とあるだ。結婚「するため」の情報やトレンドを得るにはいいが、 amazon に「結婚」と打ち込む人は、もっと切実な問いを持っている。それはこれだ。 「この結婚で、いいのか?」 「わたしは結婚できるのか?」「結婚しないとどうなるのか?」でもいい。結局のところ、結婚したほうがいいのか、そうでないのか。今の結婚を続けるほうがいいのか、やめたほうがいいのか―――もちろん質問者の性別、年齢、立場、健康状態、将来展望、家族、地縁、相方への感情、そして自分自身の気持ちにより、人それぞれ。だから、 amazonは、こうした質問に沿ったリストを出せない。 もちろん、そんな気持ちに寄り添うことで印税を稼ぐもある。あるいは、ama

    結婚のスゴ本
  • なぜ経済学者は自信満々なのか

    twitterblogで見えるようになったのは、権威の裏側。大学教授や医者、弁護士の「中の人」のつぶやきは、ときに専門的な視座から、ときに一個人として、生々しく迫ってくる。それぞれ自分の分野を保持しており、そこでは専門家として、そこ以外では部外者としてふるまう。 しかし例外がいる、「経済学者」だ。なぜあんなに、あらゆる分野で自信満々なのか。 スーパー上から目線で常識を非常識と断じる。別の権威(≒主流派)の政策やガバナンスを糞味噌にけなす。なぜか突然、放射性物質の知識が豊富になり、マスコミに代わって警鐘を鳴らす。恐怖や不安を煽るキャッチーな惹句をヒネり出すのが上手く、たとえ話はもっと上手。だが、論は2行で片付く捗りよう。 脳内タレ流しの書き散らしを眺めるともなく見ていると、経済学教授はよっぽどヒマなのか、論文書けよ、さもなきゃ講義しろよと言いたくなる。反論には猛然と襲いかか(っているよう

    なぜ経済学者は自信満々なのか
  • 死にたくなったら図書館に行け

    自殺しようとしている男の下に、こう書いてある「自殺したくなったら、図書館へいらっしゃい」。つまりこうだ。図書館には様々な手引書や目録があり、司書は、あなたの調べもののお手伝いをいたしますよというのだ。あなたの「死にたい」という問題を解決に導くだけの自信があってこそ、このセリフを吐けるのだろう。 Library Instructions,by Ann F. Roberts. Littleton, CO., Libraries Unlimited, 1982,p.46 死なんとする人の「問題」や「解決」がどこかのに書いてあるからといって、その人の苦悩が減ずるわけはない。しかし、それでも、アプローチを見つけるために図書館へ向かうのは、良い選択肢の一つに違いない[逃げ場としての図書館]。 その悩みは、既に誰かが経験済みのものだし、うまくすると、自分では気づかなかった解決策も書いてあるかもしれない

    死にたくなったら図書館に行け
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 最悪の読後感を味わわせてくれる小説

    現在のワースト3は以下のとおり。 ・隣の家の少女(ジャック・ケッチャム) ・ぼくはお城の王様だ(スーザン・ヒル)[参考] ・砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(桜庭一樹) 「最悪の読後感」とは文字通り、サイアクの気分にさせてくれるという意味。読了後、目の前が真っ暗になって、読んだことを後悔してしまいたくなるような、そんな小説小説自体がひどい出来でウンザリさせられた、というのはこれにあたらない。なぜなら、くだらないと見やいなや即破棄するから。また、描写がアレなやつを求めているわけでもない。「読むスプラッター」として一世風靡したクライブ・バーカー「血の」シリーズは楽しく読んだ。精神的に逝っちゃってる「ドグラ・マグラ」はおっかなびっくり読んだが、読後感は「面白い私小説!」だった。 人より耐性はあると自負しているわたしが跪いたのは上の3冊。挙げてみて気付いたが、いずれもテーマは虐待。この話にダ

  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 面白い小説を見つける3つの方法

    わたしのやり方。誰かの参考になれば。 まず「面白い小説」の定義。以下のいずれかの条件を満たせばOKとしようか。 ・イッキ読みされる小説 (= page turner というやつね) ・「わたし」の趣味に近い but 「わたし」の知らない小説 方法1:図書館で探すときは、の「背」に注目する 「趣味読書」を自慢する人に限って図書館を利用しない。書店の平積みを渉猟するだけで満足する。当に好きでたまらない人は、図書館を利用せざるを得なくなる。なぜか? 図書館を使わないと、床が抜けるから。あるいは生活できなくなるから。読書は「量」だ。多読せずに「面白いない?」と言う資格なし。図書館使えば10冊/週も可能。「読む時間ない」とは言い訳。時間とは創る物。それに値しないしか知らないからそんなこと言ってる。 書店はどうする? ありゃ「出会い系サイト」と同じで、新たな出会いのために訪れるもの。第一印象

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 面白い小説を見つける3つの方法
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 本を探すのではなく、人を探す

    長くなりすぎたこのエントリのレジュメ:選の肝はではなく、人を探すこと。わたしが知らないスゴは、それこそ百万冊ある。そのそのものを探すのはとても難しい。しかし、百万冊のスゴは間違いなく誰かに読まれている(それは"あなた"かもしれない)。だから、スゴを読んでいる"あなた"を探す。このblogの究極目的も、そう。 メールやコメントでいただいた、以下の質問に答えてみる。誰かの参考になれば。 【質問】 Q1 たくさんを読んでるようですが、速読をやっていますか? Q2 あるいは読書術のようなものはありますか? Q3 読むはどうやって探していますか? 【回答】 A1 速読を練習したことありますが、実践してません A2 「目的を持って読む」に尽きます A3 ではなく、人を探します は目的を持って読む あたりまえだとツッコミがくるだろうが、わたしはできていない。漫然と読んでるとあっという

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 本を探すのではなく、人を探す
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 本ばかり読んでるとバカになる

    の探し方についてのエントリ「を探すのではなく、人を探す」において、「目的を持って読む」と書いたが、具体的に何をどうすりゃいいのか、書いてない。を選ぶまでが前回のエントリなら、ここでは、選んだをどうやって読んでいるかについて、書く。 最初に やはり長くなりすぎたこのエントリのまとめ↓ 読書は他人にものを考えてもらった結果をなぞるだけだから、自分のアタマでものを考えなくなる。そうした受動的な読書を打ち破るために、オキテを作って実践している。 オキテ1:読むだけの読書にしない、オキテ2:読んだら表現する、オキテ3:読んだらフィードバックする、の3つ。その結果、読書の対象に広がりと奥行きと深みが増した。特にオキテ2を強力にオススメする。 まとめ終わり。文どぞ。 ばかり読んでるとバカになる ショウペンハウエルが「読書について」でいいこと言っている。読書は他人にものを考えてもらうこと。だか

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 本ばかり読んでるとバカになる
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊

    毎年この時期になると、「東大教師が新入生にオススメするベスト100」という企画で紹介してきたが、飽きた。 ほとんど変わり映えしないリストにも飽きたし、毎年「ベスト1はカラマーゾフ!」とハヤすのも飽きた。カラ兄が最高であることはさんざん宣伝してきたから、皆さんご承知だろう(異論・反論大歓迎、これを超えるものがあるならね)。 だから、今回はスコープを広げてみる。 ■ この企画の趣旨 東京大学に限らず、新入生を迎えるにあたって、センセイたちは思うところがある(はずだ)。ゼミにくる前に、せめてこれぐらいは読んでおいてもらいたいと望んだり、若かりしころハマったで自分語りをしてみたり。そうした願望を吸い上げているところもいくつか見つけた。以下のとおり。 リスト1 「北海道大学教員による新入生への推薦図書」 リスト2 「京都大学新入生に勧める50冊の」 リスト3 「広島大学新入生に薦める101冊」

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  • 人なら読むべき「夜と霧」

    受けとったものがあまりに重すぎて、へしょがれた。今でもへにょっている。 「東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊」のNo.10がこれ。 ■ どんなか これはホロコーストの記録。強制収容所に囚われ、奇蹟的に生還した著者の手記。限界状況における人間の姿が、淡々と生なましく描かれる。高校のときに手にした記憶がまざまざとよみがえる(「あの写真」があまりにも恐ろしく、読むことができなかったのだ)。 目を覆いたくなるのは、その姿の痛々しさや残酷さだけではない。そんなことを合理的に効率的に推し進めていったのが、同じ人間だという事実―― このことが、どうしても信じられなかったのだ。 でも大丈夫、今回読んだ新訳版では、「あの写真」はないから。だからといって、悲惨さはいささかも損なわれていない。丸刈り・個性の剥奪、強制労働、飢え、飢え、飢え、「世界はもうない」という感覚、ガス室、鉄条網へ

    人なら読むべき「夜と霧」
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