【シンガポール=吉村英輝】南極海での調査捕鯨禁止で勝訴したオーストラリア政府は、国際司法裁判所(ICJ)の判決後も声明を出さず、自制的な対応に終始している。訴訟は、前労働党政権が推進したもので、昨秋発足したアボット政権は日本との関係強化を優先している事情がある。また、独自に排他的経済水域(EEZ)を設定している南極海での捕鯨には反対でも、権益を持たない北西太平洋での捕鯨については、政府として問題視していない可能性もある。 アボット首相は1日、豪西部パースでの記者会見で、勝訴について「南極海の捕鯨をやめさせたいという国民の希望を尊重する」と歓迎する一方、「豪日関係はとてつもなく重大だ」と述べ、捕鯨問題でこれ以上、日本を追及しない姿勢を強調した。 ただ、現地メディアでは反捕鯨の論調が根強い。有力紙シドニー・モーニング・ヘラルド(電子版)は2日付記事で「クジラを守るためにはもっとすべきことがある