生物学哲学の大問題である「種」を巡って、その博覧強記をもって様々なエピソードから描き出した一冊。 というわけで、これは紛うことなき科学哲学の本であり、実際著者も何度も形而上学という言葉を使っているのだけど、哲学という言葉を聞いてこういったものをイメージできる人はあまりいないだろうなあと思うと、ちょっと寂しいかもしれないw 前著『系統樹思考の世界』(三中信宏『系統樹思考の世界』 - logical cypher scapeを参照のこと)では、新しい科学観、方法論として系統樹思考というものが捉えられ、それについて書かれていた。そういう意味で前著もやはり科学哲学の本ではあり、こちらの本はそのような前著との姉妹編ではあるけれど、また趣を異にする本となっている。 この本では既に述べた通り、「種問題」というものがテーマとなっている。 これはその名の通り、「種」とは一体何なのか、という問題である。これは