『夜になっても遊びつづけろ:よふかし百合アンソロジー』(ストレンジ・フィクションズ,2021)に書いた短篇。コーマック・マッカーシーの遺作『通り過ぎゆく者』を読んでいたらふと思い出したので、もう発表から3年も――3年も?!――経つことも踏まえ、じゃっかん修正して、公開することにした。百合なのかどうかよくわからないし、かなり性的な話もしているし、美醜については踏み込みが足りていないとも感じるけれど、最後に語られる「言葉」についての言葉は、いまも自分自身に射抜かれてしまっているところがある。 なお元ネタは、シモン・ストーレンハーグの『エレクトリック・ステイト』。アメリカでは、誰もが旅をする。 汚いガキだったけど礼儀ってやつを知っていたね。いや、儀礼って云うべきかな。ちゃっかりあたしらのクラッカーくすねやがったよ。ほらご覧、あとひと袋しかない。あたしが囓ってたのをよだれ垂らして眺めてるから、ま、
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