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ブックマーク / rmaruy.hatenablog.com (13)

  • 読書メモ:『エッセンシャルワーカー:社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか』(田中洋子 編著) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    エッセンシャルワーカー 社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか 旬報社 Amazon 書は、日のエッセンシャルワーカー、つまり「社会に不可欠な仕事をしている人たち」に焦点を当て、その処遇が悪化してきた実態とその背景を、10を超える業種のケーススタディをもとに論じた一冊。労働社会学などの研究に基づく内容ではあるが、一般向けに分かりやすく書かれている。書名に興味を引かれた人なら、誰でも通して読めると思う。 10名強の研究者・実務者が分担執筆しているが、導入と結論部分、ドイツの事例報告など書の軸となる部分を、編著者である、ドイツ経済史や労働政策を専門とする田中洋子教授が担当している。14年前、ブログ筆者は、田中先生が筑波大学にて主催するゼミを学部外から履修していた。そのゼミでもまさにエッセンシャルワーカー(当時はその言葉は使っていなかったが)の労働環境について扱っていたので、当時の

    読書メモ:『エッセンシャルワーカー:社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか』(田中洋子 編著) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
  • 「35歳からの探究活動」心得 - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    2022年度から高校では「総合的な探究の時間」という新科目が始まったと聞くが、私は大人になってから、細々と、自分のためだけの「探究活動」を行ってきた(「独学」*1でも「勉強」*2でもいい)。 面白そうなを読んで感想を書いたり、気になるテーマについて文献を拾い集め、分かったことを文章にまとめたり、といったことだ*3。 とにかく「自分は何も分かっていない」という感覚が出発点である。宇宙の成り立ち、自分の身体を構成する細胞のメカニズム、社会がどう成立しているか、人々の幸せや不幸、死に向かう心構えの作り方。何一つわけが分からないまま生かされている感じがあり、そのなかで暫定的でもいいから自分なりの「理解」をつかみたいというのが、日々書籍やブログ執筆に向かうモチベーションとなってきた。 素人でも、一定の期間(短ければ数日、長くて1ヶ月くらい)集中的に調べたり考えたりしていると、なんとなく「見取り図」

    「35歳からの探究活動」心得 - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
  • 読書メモ:学術出版の来た道(有田正規 著) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    学術出版の来た道 (岩波科学ライブラリー 307) 作者:有田 正規 岩波書店 Amazon 何気なく手に取ったこの、非常に面白く、ためになる内容だった。タイトルに「学術出版」とあるが、「学術書」というよりは「学術誌」(いわゆる「ジャーナル」)が主題だ。 私の予備知識は以下のようなところだった。 研究者は、論文を書くことで成果を発表し、そのことで業績を認められる。 論文は、エルゼビア、シュプリンガーなど一握りの出版社が刊行する学術誌に掲載される。 近年はインターネット上でアクセスできるようになっているが、論文数の急増、雑誌の購読料の高騰など、様々な構造的問題が指摘されている。 …ここまでは、自分も何となく知っていた。 しかし、ではそうした学術界と出版界の関係がどのように構築されてきたのか。なぜ、大手出版からたびたび研究者から非難を浴びながらも、そのビジネスを続けられているのか*1。学術書

    読書メモ:学術出版の来た道(有田正規 著) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
  • 思考整理メモ:本の価値と編集者の役割~8年間の出版社勤めを終えて~ - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    日、2020年11月30日をもって、8年8カ月勤務した理工系出版社を退職した。明日からは出版を離れ、違う業界で働くことになる。 とは何か、出版・編集とはどんな仕事なのか、自分なりに模索し続けてきた日々だった。気持ちがまだ編集者であるうちに、いまの考えを書いておこうと思う。 できたこと、できなかったこと を「書きたい人」「読みたい人」はいなくならない には「作品」としての価値がある 「書かなくてもいい」ものだからこそ、に力が宿る は「編集者がつくる」のではない 著者と編集者の「同床異夢」が生む奇跡 おわりに 「出版業界ってどうなの?」「もこれから大変だろうね」。出版社に内定が決まって以来、何度となく投げかけられてきた言葉だ。自分としても、「の役割」や「出版社・編集者の存在意義」について、入社以前から自問自答してきた*1。 いまの時代、は要るのか? 出版社は要るのか? 編集者

    思考整理メモ:本の価値と編集者の役割~8年間の出版社勤めを終えて~ - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
    murashit
    murashit 2020/11/30
    おおお
  • 読書メモ:川と国土の危機(高橋裕 著) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    川と国土の危機――水害と社会 (岩波新書) 作者: 高橋裕 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2012/09/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 河川利用を専門に研究している、友人の坂貴啓さんに紹介いただいた。著者の高橋裕氏は1927年生まれの東京大学名誉教授で、河川工学の第一人者だそうだ。 書は、現在の日の水害対策の課題を主軸としつつも、明治期からの日の治水事業の変遷、各種災害の歴史、治水の考え方の変化、未来への提言と、幅広い話題がまとめられている。読み応えがありながら前提知識なしでも読める、「これでこそ新書」という感じの一冊だった。 以下、内容に関して印象に残った部分をメモしておく。 治水対策には副作用がある 河川工学や治水対策と聞くと、河川氾濫に備えて川の流量を計算し、堤防や水門などの設備を計画する、というイメージをもっていた。しかし、

  • 思考整理メモ:「本など書く暇があったら研究したい」研究者に、それでも本を書いてほしい編集者の弁 - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    理工系の研究者にを書いてもらい、出版の手助けをするのが私の仕事である。しかし、理工系研究者*1たちからは、 を書く時間なんてとてもないよ を書く暇があったら研究をしたい という声を聞くことが多々あり、その頻度は年々増えているように思われる。それでも無理やり時間を作ってを書いてもらおうと思えば、 そもそも、今の時代に(教科書・専門書)を書く意味がどれほどあるの? という疑問に対して、納得できる回答をしなければいけない。これによい答えを用意できるかどうかは、理工書出版というビジネスの存続においても、その一員としてこの先仕事を続けるうえでも、死活問題だ。 以下は、この件についての現段階での考えをまとめたメモである。 ※言うまでもなく、所属企業の見解ではありません。 ※下記の記述には、職務上知り得た情報は含まれておらず、一般に公開されている情報だけをもとに書いています。 ※とても不完全な

    思考整理メモ:「本など書く暇があったら研究したい」研究者に、それでも本を書いてほしい編集者の弁 - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
  • 脳と機械をつないでいいのか? ~「BMIの倫理」の議論をもう一度始める~ - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    先月、イーロン・マスク氏が率いるNeuralink社の発表が話題を呼びました。 これは、同社が開発した脳とコンピュータをつなぐ技術、いわゆるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の最新の成果に関するものでした。細いファイバー状の電極を、ロボット技術を駆使して脳に何も刺し、数千か所からの脳活動の記録、および脳細胞への刺激が可能になった、そして、来年には人間での臨床試験を目指すといいます。 この発表の概要と科学的なインパクトについては、紺野大地(@Daichi__Konno)さんによる記事にまとめられています。 イーロン・マスクとNeuralinkは脳科学をどう変えるのか|Daichi Konno|note そんなことしていいの? 「人間の脳に電極を刺して、コンピュータとつなぐ」。こう聞いて、どう思われたでしょうか。「医療行為としてならありかも…」といったあたりが常識的かもしれません。

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  • 読書メモ(勉強モード):なぜ科学は多元的であるべきなのか(Hasok Chang, "Is Water H2O?", 第5章) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    Is Water H2O?: Evidence, Realism and Pluralism (Boston Studies in the Philosophy and History of Science Book 293) (English Edition) 作者: Hasok Chang 出版社/メーカー: Springer 発売日: 2012/05/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 以前もこのブログで取り上げた、"Is Water H2O?"(by Hasok Chang)。19世紀の化学史を丹念に紐解き、そこから現代の科学・科学哲学について考えるヒントを得ようというです*1。 今回は、同書の最終章(第5章)を見ていきたいと思います。 ※エントリーは、6月ころ(?)に実施予定の勉強会の準備を兼ねたメモです。勉強会での指摘などを踏まえて書き

    読書メモ(勉強モード):なぜ科学は多元的であるべきなのか(Hasok Chang, "Is Water H2O?", 第5章) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
  • 読書メモ(解説モード):水の電気分解の何が謎だったのか(Chang 2012, 第2章) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    Is Water H2O?: Evidence, Realism and Pluralism (Boston Studies in the Philosophy and History of Science Book 293) (English Edition) 作者: Hasok Chang 出版社/メーカー: Springer 発売日: 2012/05/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る ケンブリッジ大学の科学哲学者、ハソク・チャン氏による2012年の著書。19世紀の化学史を丹念に紐解き、そこから現代の科学・科学哲学について考えるヒントを得よう、といった内容です。 現在、この読書会を開催しています。 2019年4月12日19:00~H2O読書会(@駒場or遠隔) “Is Water H2O?”(Hasok Chang 2012)の第1章と第2章

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  • 読書メモ:科学哲学の源流をたどる(伊勢田哲治 著) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    科学哲学の源流をたどる:研究伝統の百年史 (叢書・知を究める) 作者: 伊勢田哲治 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房 発売日: 2018/11/08 メディア: 単行 この商品を含むブログを見る 「伊勢田先生の新刊だ!」と思って買ったものの、「え、19世紀の歴史? あまり興味ないかも…」となって積んでいた一冊。 ところが、 先日下記のイベントを(ネット)聴講し、がぜん興味がわいた。 視聴メモ:「科学と科学哲学――はたして科学に哲学は必要なのか?」…必要、ただし困ったときだけ(?) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため) 読み始めるとこれが面白く、一気に読めた。 なぜ19世紀~20世紀初頭の歴史を振り返るのか なぜ科学哲学者の著者が、科学哲学の歴史を振り返るのか。それも、書が扱うのは直近100年ではなく、そのさらに前の100年間だ。 科学哲学は、「因果とは?」や「実在とは?

    読書メモ:科学哲学の源流をたどる(伊勢田哲治 著) - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
    murashit
    murashit 2019/03/18
    伊勢田先生のブックガイド http://tiseda.sakura.ne.jp/PofSbookguide.html で「最近の」科学哲学の話が出てたので、あのへん参考にして漁ってみようという気持ちになった
  • どうすれば脳を「理解」できるのか:「コンピュータチップの神経科学」から考える - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    今回は「探求メモ」の特別版といった位置づけで、長めの記事を投稿します。2017年に出た神経科学についてのちょっと面白い論文を読み、友人と議論しながらあれこれ考えて書いたものです。昆虫の神経科学と合成生物学を研究している、鈴木力憲(@Mujinaclass)氏との共著です。この文章は、鈴木氏の研究ブログにも同時掲載されています。(同ブログには、研究者として稿を書いた意図をまとめた「序文」がありますので、このテーマのご専門の方はまずそちらをご覧ください。) どうすれば脳を「理解」できるのか:「コンピュータチップの神経科学」から考える 文章:丸山隆一(@rmaruy)・鈴木力憲(@Mujinaclass) 近年、神経科学の進歩がすさまじい。さまざまな技術革新によって、脳に関して得られるデータは飛躍的に増えた。「記憶を書き換える」「全脳をシミュレーションする」といった華々しい研究の数々は、神経科

    どうすれば脳を「理解」できるのか:「コンピュータチップの神経科学」から考える - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
  • 読書メモ:Lost in Math(by Sabine Hossenfelder)……美の追求が、物理学を袋小路に追い込んだのか? - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    Lost in Math: How Beauty Leads Physics Astray 作者: Sabine Hossenfelder 出版社/メーカー: Basic Books 発売日: 2018/06/12 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る 直訳に近い日語のタイトルをつけるとしたら、『数学に迷い込んで――美の追求が現代物理学を踏み誤らせたわけ』などとなるでしょうか。 著者のサビーン・ホッセンフェルダー博士は、量子重力理論などを専門とする理論物理学者。書は、彼女の「物理学、このままで大丈夫?」という素朴な疑念から出発し、多くの著名な物理学者への取材を重ねて、現代物理学の陥っている問題点を指摘した一冊となっています。 理論物理は、実はかなり前から行き詰まっていた? 現代物理学の行き詰まり――こう聞くと、まず思い浮かべるのは「実験の大規模化」ということではないでし

    読書メモ:Lost in Math(by Sabine Hossenfelder)……美の追求が、物理学を袋小路に追い込んだのか? - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
  • 読書メモ:学術書を書く - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

    学術書を書く 作者: 鈴木哲也,高瀬桃子 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会 発売日: 2015/09/25 メディア: 単行 この商品を含むブログ (3件) を見る ビジネスメールの書き方,企画書の書き方,小説の書き方,論文の書き方……「どうやって書くか」を扱ったは多い.これまで僕もたくさん読んできたが,意外にも「学術書の書き方」は初めてだった.テーマとして盲点だったのかもしれない. 書を書くにふさわしく,著者は大学出版のベテラン編集者だ.いまの時代に学術書を書く意味から,学術書を書く際のノウハウ,入稿するときの実務的な注意点まで,学術書を書く人が知っておくとよいことを丸ごと指南する内容になっている. 何のための学術書か,という話からはじまる.学術書の役割は変わってきている.「出版」が学術コミュニケーションの唯一の手段だった一昔前と違って,いまでは研究業績は(多くの場合オンライ

    読書メモ:学術書を書く - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
    murashit
    murashit 2015/10/08
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