自動車業界はフォルクスワーゲンの排ガス不正問題で持ちきりだが、議論のみならず報道を見ていてもいろいろと誤解が多い。今回はディーゼルの仕組みと排ガス規制の問題を整理して、問題の本質をもう一度考え直してみたい。 存在意義はCO2抑制 まずはディーゼルエンジンの存在意義についてだ。クリーンディーゼルと言われながらも、実はディーゼルエンジンの排気ガスはガソリンエンジンよりずっと汚染物質が多く含まれている。クリーンというのはあくまでもこれまでのディーゼルエンジンと比べての話なのだ。しかし、それでもディーゼルが重要視されてきたのは、二酸化炭素(CO2)の排出が少ないからだ。 1997年の気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3、京都会議)において、史上初めて京都議定書で批准各国のCO2排出量目標が提議された。併せて排出枠の貸借りや、売買が提案され、従来の罰則方式でなく自由経済的なインセンティブ付与を
フォルクスワーゲンで何があったのか? 排ガス「不正」の背後に見え隠れする熾烈な権力闘争 ドイツ全土が揺れている 「クリーン・ディーゼル」の嘘 9月19日、フランクフルトのモーターショーの宴もたけなわな頃、フォルクスワーゲン(VW)社の排ガス試験の不正が報道され、以来、ドイツでは爆弾が落ちたような騒ぎになっている。 問題となっているのはVW社のディーゼルエンジン車で、アメリカの環境保護局が不正を摘発した。 このニュースが巷に流されたのが土曜日であったことは、おそらく偶然ではない。株式市場の大混乱を防ぐ目的があったはずだ。 とはいえ21日の月曜日、混乱は十分に起こった。フランクフルトの株式市場が開いた途端、VW社の株価は下がり続け、その日の終値は17%のマイナス。そして、翌22日はさらにまた17%下がった。しかも、株価が転がり落ちたのはVWだけでなく、メルセデスやアウディ、そしてコンチネンタル
熊野 信一郎 日経ビジネス記者 1998年日経BP社入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2007年より日経ビジネス香港支局に異動、アジアや中国に関連する企画を手がける。2011年11月に東京の編集部に戻る。 この著者の記事を見る
どう考えても腑に落ちない。独フォルクスワーゲン(VW)が、米国内で販売していたディーゼル乗用車で、排ガスに関する試験をクリアするために、違法なソフトウエアを使っていたとされる事件のことだ。 違法なソフトウエアを搭載していたとされているのはVWが米国で販売した2009~2015年型の「ゴルフ」「ジェッタ」「ビートル」と2014~2015年型の「パサート」、そして傘下の独アウディが販売した2009~2015年型の「A3」のディーゼル仕様車の合計約48万2000台だ。米環境保護局(EPA)の発表によれば、これらの車種に搭載されているエンジンECU(電子制御ユニット)のソフトウエアには“スイッチ”(EPAの呼び方)が組み込まれており、このスイッチが「ステアリングの位置」「車速」「吸気圧」などからEPAの排ガス試験中であることを検知すると、ECUが「試験用」の制御ソフトウエアを走らせて、排ガスに含ま
【ワシントン=川合智之】ドイツのフォルクスワーゲン(VW)による排ガス試験を巡る不正問題が発覚したのは、米ウェストバージニア大が実際の路上で実施した排ガス試験がきっかけだった。昨年5月の同大報告書によると、基準値の最大35倍の窒素酸化物(NOx)を検出。不審に思った同大が米環境保護局(EPA)に連絡し、試験中かどうかを見分ける不正ソフトの存在が判明した。同大のダニエル・カーダー所長らはVWの「
2015年09月23日 VWとの提携を解消したスズキ会長の慧眼 Tweet VWのスキャンダルが世界に激震を与えている。不正なソフトウェアを用いて排ガス規制テストをパスし、通常走行時には規制値の10-40倍もの排ガスを排出していたというのだから呆れる。2008年から今年にかけて世界中で販売された対象のディーゼル車は1100万台に上るとされており、問題収拾のメドは立っていない。 VWの一連の騒動を受けて想起されるのはつい先月VWとの資本提携を解消したスズキの件である。提携の解消については両社で争いがあったが、ロンドンの国際仲裁裁判所の裁定により、先月末にスズキの要求に基づき提携が解消された。 提携解消発表時にスズキの鈴木修会長がインタビューに答えているのだが、VWの不正を知った今となって読むとなかなか味わい深い。スズキはVWの不正に気付いていた、あるいは確信はなくてもきな臭さを感じていたので
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