なんだかんだ、2017年も残すところ、あと2カ月になってしまった。僕はやり残したことばかり。皆さんはいかがですか? 今の演劇ファンは松井須磨子をごぞんじだろうか。日本初の近代演劇女優と言われる存在だ。日本の演劇は歌舞伎に始まる。それに対し、川上音二郎の書生芝居、壮士芝居が登場して新派へとつながっていく。一方で、早稲田大学講師でヨーロッパに留学した島村抱月は帰国後、坪内逍遥らと文芸協会を設立し、やがて演劇研究所の1期卒業生らにより帝国劇場で『ハムレット』を上演する。その舞台でオフィーリア役を演じたのが松井須磨子だ。1911年のこと。ちなみに時期を同じくして、やはりヨーロッパ演劇に刺激を受けた小山内薫と二代目市川左団次により翻訳劇を演目に据えた自由劇場も活動を開始する。その二つの動きが新劇運動の先駆的な役割を果たした。新劇というのは現在の文学座、俳優座、民藝、青年座などの劇団を指す(あまり今で