大学の同僚の先生方と話していたりする時、答えるのにやや戸惑う質問を受けることがある。「小峰さんはどうして役人を辞めたのですか」という質問だ。質問する人の気持ちは分かる。「安定した役人の地位を捨てて辞職したからには、何か理由があるはずだ。上司と喧嘩したのか、政府の方針に抗議して辞任したのか。役人としての仕事に限界を感じたのか。どうしてなんだろう」と思うのかもしれない。 この質問に私が戸惑うのは、多くの役人は、自分から進んで職を辞するわけではないからだ。組織として「もう君のポストはないから、辞職届を出してください。辞職後は、〇〇の仕事をしてもらいます」と言われることが多い。もちろんこれは一般的な場合であって、自ら役人に見切りをつけて、政界に打って出たり、民間企業に移ったり、大学の先生になるというケースもある。ただ、どちらが一般的かと言われれば、「そろそろ辞めろ」と言われたから辞めるという場合が
![役人を辞める時 | 公益社団法人 日本経済研究センター](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ea0d9bdc5c0ffe2db3b5b700b29a1ac6ae470b12/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.jcer.or.jp%2Fimages%2FJCER-Logo-square-144px.png)