要旨 昨年来の世界経済は主要国を中心に回復が進むが、主要産油国は協調減産の小幅縮小を維持したため、国際商品市況は底入れの動きを強めてきた。これを受けて、主要国中銀は正常化を進めるなど新興国にとっては資金流出に繋がりやすい環境にある。こうしたなか、ウクライナ情勢の悪化は原油などエネルギー資源に加え、穀物輸出の減少を招いており、生活必需品を中心とするインフレに繋がっている。こうした動きは景気回復の途上の新興国にとり経済のファンダメンタルズの悪化を招く上、景気に悪影響を与えやすい。穀物価格の急騰はいわゆる「アラブの春」の遠因になったなか、すでに一部の新興国で反政府デモが活発化する動きもみられる。国際金融市場では主要国中銀がタカ派姿勢への傾斜を強めるなど新興国を取り巻く状況は厳しさを増す懸念があるなか、ウクライナ問題を機に政治不安が顕在化する可能性は高まっている。 昨年来の世界経済を巡っては、欧米