文・ウェッジ書籍編集室 コロナ禍に見舞われた今年(令和2年)ですが、『日本書記』の編纂から1300年という節目の年でもあります。 記紀には、天照大神(あまてらすおおみかみ)が瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を神々の住む高天原(たかまがはら)から地上に降臨させ、統治させたという「天孫降臨神話」が記されています。 その舞台として現在の宮崎県の「高千穂(たかちほ)」が知られていますが、不思議なことに、県内には北端と南西に「高千穂」があるのです。どちらが「天孫降臨の地」なのかについては古くから議論があります。 その謎について、『日本書紀に秘められた古社寺の謎』(神道学者・三橋健編、ウェッジ刊)から見ていきます。 九州に2つある天孫降臨の地 記紀神話によると、天照大神の孫にあたる瓊瓊杵尊は、多くの伴をしたがえて高天原から九州の「高千穂」に降臨し、地上世界の統治者となります。いわゆる「天孫降臨神話」と呼ばれ