コンパクトなスペインはこの日も変わらなかった。 中盤の攻防では常に数的有利な状況を生みだし、オランダの司令塔スナイデルに、良い体勢でボールを受けるチャンスを与えなかった。そんなスペインの守備を前に、オランダはロングボールを蹴りだしてばかりだった。 だが、ファンマルバイク監督はそうなることは計算済みであるかのような作戦を取った。 オランダはスペイン陣内でゴールキック、スローインなどのリスタートを敵に与えるたび、FWファンペルシをボールに近い選手に必ず貼り付けた。スペインお得意のパス回しの第一手をそうすることで封じようとしたのだ。そしてそれは極めて効果的だった。 自らのゴールに近いエリアで、一度でもミスをすれば致命傷を負いかねない状況……スペインは無理をしてショートパスをつなぐのではなく、とりあえず相手陣内にボールを送ることを優先した。それによってスペイン本来の最終ラインからのパス回しは、いつ
![敗北も死闘も乗り越え、貫いた美学。個と組織が融合したスペインの戴冠。(中嶋亨)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/21506d63707049d8fe536001a8ce0880f1a45704/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F1%2F2%2F-%2Fimg_124ac76579b142b7e8850ab643a8550b118156.jpg)