今回の提言は、「なぜ提言が必要か」という付帯文書とともに公表された。そこには、私立大の関係者が、自らを取り巻く環境に強い危機感を抱いていることが示された。 「なぜ必要か」は冒頭で、1大学、1学生あたりの公費投入額が国立大と比較され、前者で37倍、後者で16倍もの格差がある、とした。それにもかかわらず、と畳みかけるように、「国立大に対する規制や誘導が、私立大に及ぶことも少なくない」と言う。 昨年、唐突に出された「人文社会科学系の組織改廃」の通知は国立大に対するものだが、私立大にはショックだった。私立は大きな予算が必要な理工系分野は弱く、人文社会系の教育を柱としているところが大多数である。 これに産業界からの「すぐに役立つ人材」要請が強まり、中央教育審議会や文科省の政策にも影響を与える。「私立大の関係者は研究と教育の現場で違和感を持ち続けてきた。それは、政府や産業界が求める人材像だけに大学教育