神曲 ダンテ・アリギエーリ 集英社 1976 Dante Alighieri La Divina Commedia 1307~1320 [訳]寿岳文章 驚嘆、飛翔、篤心だ。回復しがたい罪状であり、壮大きわまりない復讐である。あるいは偉大な作為そのものだ。それなのに至上の恋情で、比較のない感銘の比喩である。また深淵の祈念で、阿鼻叫喚であって、それでいて永遠の再生なのだ。 ダンテ。神曲。ディヴィナ・コメーディア。神聖喜劇。ここには人文の地図があり、精神の渇望があり、文芸のすべてに及ぶ寓意が集約されている。それは宇宙であり、想像であり、国家であり、そして理念の実践のための周到なエンサイクロメディアの記譜だ。あらゆる信念と堕落の構造であり、すべての知の事典であって、それらの真摯な解放である。 ダンテ。神曲。ディヴィナ・コメーディア。神聖喜劇。こんな途方もないフォーマットをもった物語には、めったにお