フランスの政治ショックは、同国の財政赤字が数年先でなく、今ここにある問題だという現実を債券投資家に突き付けた。 ユーロ圏中核国という理由で、フランスの財政赤字がもたらす脅威を投資家は忘れ、同国は長らくその恩恵を享受してきた。その平穏が今危険にさらされている。 マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる反移民の極右政党・国民連合(RN)が欧州議会選で圧勝し、与党連合が大敗したことで、マクロン大統領は先月、国民議会(下院)を解散し、総選挙を実施すると発表。政治的安定への疑念が生じ、フランス国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は、欧州ソブリン債危機以降で最大に拡大した。 7日の決選投票の結果、国民議会は絶対多数政党不在のハングパーラメントとなり、新たに発足する内閣が経済改革を推進したり、財政政策で一致点を見いだしたりすることは難しいだろう。税と政府支出では特に妥協が困難と思われる。