7年8カ月続いた安倍政権は、どのような政治をしてきたのか。政策シンクタンク代表の原英史氏は「元文部科学次官の前川喜平氏は『霞が関全体が安倍官邸の下僕、私兵と化してしまった』と批判している。しかし、忖度が増えたのは『官邸主導』の問題ではなく、霞が関の劣化の問題だ」という――。 安倍政権の「行き過ぎた官邸主導」という虚像 安倍政権は「行き過ぎた官邸主導」だった、というのが通り相場だ。 たしかに、アベノミクス初動や外交・安保では、強力な「官邸主導」が発揮された。だが、それ以外の内政全般ではそうだっただろうか。 私自身、安倍政権での「国家戦略特区」の制度創設時からワーキンググループ委員として運営に携わるなど、目玉政策の一つだった「岩盤規制」改革に関わった。私に見えていた限り、「官邸主導」を感じることは少なく、政権後半にはさらに薄れていった。 比較すると、より強く「官邸主導」だったのが小泉政権だ。道