太平洋戦争を主導した首相東条英機は戦争は精神力の勝負だと考えていた。元秘書官が現代史研究家保阪正康さんに証言している。現実の裏付けのない精神論を、保阪さんは「これほどひどい非知性的な発言はない」と著書に記している▼昭和天皇は1975年を最後に靖国神社に参拝しなくなった。東条らA級戦犯を合祀(ごうし)したからだ。2006年に公になった元側近のメモに、不快感を示したとある▼靖国神社が昨年秋、当時の天皇陛下(現上皇さま)に19年の神社創立150年に合わせた参拝を求める異例の「行幸(ぎょうこう)請願」を宮内庁にしていたことが分かった。宮内庁は代替わりを控え多忙などを理由に検討そのものを見送り、靖国側も断念した▼靖国神社の前身「東京招魂社(しょうこんしゃ)」は戊辰戦争の新政府軍戦死者らを弔う明治天皇の意向で建てられた。戦没者らの慰霊、顕彰を担う中心は天皇本人だが、不参拝が続く。靖国側は「平成の御代(