(2010年6月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 今夏、米ワシントン州シアトルのウォーターフロントで公衆トイレに立ち寄ったら、溢れたゴミ箱を目にすることになるかもしれない。なぜか? 丁寧な張り紙には「2010年度予算の削減のため、シアトル政府は公衆トイレを毎日清掃できなくなりました」と書かれている。それで汚れているわけだ。 投資家は留意した方がいい。ここ数カ月間で、米国の財政難はどこか非現実的な様子を帯びてきた。理論上は、米国の連邦レベルの財政赤字と債務の数字は紛れもなく恐ろしいものに見える。だが現実的な観点からすると、どんどんゼロが増えていく債務の影響は極めて抽象的なように見えるのだ。 影響を実感できない連邦政府の膨大な債務 米国の公的債務は2008年に10兆ドルを突破し、ニューヨーク中心部にある米国の「借金時計」は数字を1ケタ追加しなければならなかった。その後も債務は膨らむ一方
6月17日、民主党のマニフェストが公表された。翌18日、菅政権は「新成長戦略」を閣議決定した。マニフェストの裏書きのようなものだ。 このコラムで前回(菅直人「所信表明演説」から浮かび上がる「第三の道=増税指向」)と前々回(菅直人首相「第三の道」政策では経済成長も円安もムリ)、すでに増税議論のバカバカしさを書いたので、今回は「新成長戦略」を取り上げよう。 この「新成長戦略」はマスコミに好評のようである。その理由は、各産業についての将来の数字を含めデータが豊富であることのようだ。なんのことはない記事にしやすいだけなのだ。 しかし記事にするのは簡単だが、実際に成長をさせるのは実際には難しい。ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授(プリンストン大学)は、かつて筆者にこういったことがある。 「経済成長を確実にできる方法を発見すれば、ノーベル賞は確実だね。だって、世界中から貧困問題がなくなるじゃな
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