かつての60歳か65歳でリアイアしてあとは悠々自適の生活を送るという人生設計は、もはや過去のものとなりつつあるようだ。 この71%という数字は過去数年間で急激に上がってきたものだ。2年前は約50%である。 これは米国の公的年金(社会保障年金)だけでは、老後の生活を送ることが難しいことを意味してもいる。米国社会で何かが急激に変化してきている。 読者の方は、2年前にニューヨーク市で起きた「ウォール街を占拠せよ」という抗議運動を覚えておられるだろう。米政財界への不満が爆発し、座り込みから泊まり込みへと発展し、沈静化するまで数カ月間も続いた。 背景にはバラク・オバマ政権の金融機関救済への批判や富裕層への優遇措置があった。デモ参加者が掲げたのは「我々は99%だ」というスローガンで、富裕層1%が占有する富と社会格差に対する憤懣が表出した。それは仕事が見つからない学生や失職中の人だけでなく、一般市民にも