ふだん使っている紙幣は、なぜ紙切れとしてではなく、お金として扱われるのだろうか。フェイスブックが今年6月に打ち出したデジタル通貨「リブラ」構想は、どう読み解けばいいのか。お金をめぐる様々な疑問を、「貨幣論」で知られる経済学者の岩井克人・国際基督教大特別招聘教授(72)に聞いた。(聞き手・星野眞三雄) 【写真】変わる貨幣。ビットコインの世界 ――「貨幣論」では、「お金とは何か」を論じています。 お金がお金となるのは、他の人も受け取ってくれると予想するから、だれもが受け取る、という自己循環論法です。他人が受け取ってくれれば、お金はお金として通用する。それを疑い始めたら、お金として通用しなくなる。日常的にはほとんど意識していないが、根底では、他の人がお金として受け取ってくれると信じていて、その他の人も他の人が受け取ってくれると信じている。深いところで信じ合っている仕組みに支えられているのです。