【ワシントン大治朋子】イラクやアフガニスタンでの戦争で、反米武装勢力の爆弾攻撃を受けた米兵が爆風だけで脳内に特異な損傷を負うケースが多発している。毎日新聞の米国防総省などに対する情報公開請求で、その負傷兵士数が少なくとも2万人以上に上ることが分かった。頭部に外傷がなく、脳組織だけが破壊されて記憶障害などの症状を起こすのが特徴。ハイテク防護服が従来以上に米兵の生命を守る「生き残る戦争」の現状が背景にあり、米軍は対テロ戦争で新たな課題に直面している。 武装勢力は米軍への攻撃で、改良して爆発力を増したIED(即席爆発装置)と呼ばれる手製爆弾を多用している。毎日新聞が入手した米陸軍病院作成の資料(06年3月)によると、手製爆弾の多くは超音速(秒速約340メートル以上)の爆風を生む。武装勢力は爆弾を道路脇などに仕掛け、米軍の至近距離で爆発させている。 医療関係者らによると、爆風の衝撃波が外傷性脳