「お疲れさま」。こんな言葉をかけあう光景をよく目にする。どこが悪いというのではないが、私はなぜかあまり好きになれなくて、かねてから気になっていた。その理由を探ってみようと思う。 そもそも、まったく疲れてもいないときに「お疲れさま」と言われると、自分が怠けていることを見透かしたあてこすりのように聞こえて面白くない。 もっとも、もしこれだけが理由だとすれば、原因は時間にほとんど縛られず気ままに暮らしていて、めったに疲労を感じることがないことを恥じつつ生活している、私の特殊事情に求められるべきかもしれない。しかるに、体が疲労しているというごくまれな状況においてさえも、「お疲れさま」が心地よく響くかというと、必ずしもそうではないようなのだ。 運動不足のためスポーツ・ジムに出かけ、鴨川と比叡山を見ながら汗を流した帰り際には、出口で受付の人が「お疲れさまでした」と声をかけてくれる。若者のさわやか