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ブックマーク / honz.jp (10)

  • では、あの犠牲とは何だったのか?『生かされなかった八甲田山の悲劇』 - HONZ

    八甲田山雪中行軍遭難事故――日露戦争を前にした訓練で、厳冬期の青森県八甲田山麓に入った陸軍歩兵第五連隊が遭難。199人もの死者を出した、世界最大級の山岳遭難事故である。この事故が100年以上経つ現在も広く知られているのは、新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』によるところが大きい。 だが、それはあくまで「小説」であって、史実ばかりではない。実際の雪中行軍は、どのように行われ、なぜ遭難したのか? その実態を追及したのが、青森の自衛官であった著者の前著『八甲田山消された真実』である。そこには映画「八甲田山」に登場する高倉健や北大路欣也のような格好良い指揮官の姿はどこにもなく、ただただ無謀で悲惨な行軍の実態が暴かれている。 『八甲田山死の彷徨』には、遭難事故を受けて、精神や鍛錬だけでは吹雪に勝てないと知った軍上層部がようやく重い腰を上げ、寒中設備を全面的に改良することに決めたというくだりが出てくる。

    では、あの犠牲とは何だったのか?『生かされなかった八甲田山の悲劇』 - HONZ
  • 『ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光』 - HONZ

    書は、海外における日アニメ研究の第一人者による「宮崎駿論」決定版とも言うべき一冊である(原書はMiyazakiworld: A Life in Art, Yale University Press, 2018)。通読してまず実感するのは、著者スーザン・ネイピアの「ミヤザキワールド」に対する並々ならぬ愛情の深さだ。自身も優れたストーリーテラーであるネイピアの語り口は優しく滑らかで、宮崎の人生や時代背景が創作過程にどのような影響を与えたのかを、難解な専門用語に頼ることなく紐解いていく。ネイピアは、宮崎の作品世界を読み解くために、監督に関する膨大な日語の(そして日に日にボリュームを増す英語の)文献や資料を渉猟しただけでなく、作品にインスピレーションを与えた自然や場所にも自ら足を運んで観察している。 現在、タフツ大学で修辞学教授を務めるネイピアは、これまで日文学とファンタジーやアニメに関す

    『ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光』 - HONZ
  • 『最期の言葉の村へ──消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』 言語とともに消え去っていくものたち - HONZ

    タヤップ語。それは、パプアニューギニアの熱帯雨林の奥深くにある小さな村で話されている言語である。そして、その言語はいままさにこの世界から消え去ろうとしている。 「言語はなぜ消滅してしまうのか」。1980年代、当時大学院生だった書の著者は、その謎を明らかにしたいと切望し、単身で熱帯雨林の奥地に潜り込む。当時、どんな地図にも載っておらず、そこを訪れた白人もほとんどいなかった、湿地の村ガプン。その村では、非常に古い歴史を有した言語が、ごくわずかな村人たちによって話されていた。書は、その言語と村人たちの行く末を30年にわたって追跡した研究書であり、ルポルタージュである。 先に明かしてしまうと、書のおもしろさは次の2点にある。まずひとつは、言語研究の来的な務めとして、ひとつの言語の消滅過程をしっかり記録していること。そしてもうひとつは、奥地での仰天話あり、九死に一生のエピソードありで、全体と

    『最期の言葉の村へ──消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』 言語とともに消え去っていくものたち - HONZ
  • 今週のニュースはこれを読め!6/16〜6/22 - HONZ

    今週のニュースはこれを読め!6/16〜6/22 HONZ

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  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    【ネットマンガラボ】2018年9月「紙とWebの二刀流!新世代マ... 2018年09月21日 2018年9月20日(木)、マンガ新聞運営サロン「ネットマンガラボ」イベント『「紙とWebの二刀流!新世代マンガ家」山科ティナ×堀江貴文対談』が開催されました。イベント前半はホリエモンチャンネルと...

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  • 『スーパーベターになろう!』ゲームで変える、あなたが変わる - HONZ

    ゲームばっかりやってたらダメでしょ!」そう子供の頃に言われた経験を持つ方も多いだろう。多くの人に愛されながらも、長らくゲームというものは日陰者の存在であった。 しかし、VR元年とよばれる2016年を目前に控え、このようなゲームの位置づけが大きく変わってきているという。一つはテクノロジーの進化によって、バーチャル領域の精度が飛躍的に向上してきていること、そしてもう一つはゲームの効能というものが科学的に解明されつつあることによる。 書で興味深い事例が、いくつも紹介されている。ワシントン大学の研究チームが重度の火傷治療中の患者のために開発した、『スノーワールド』という3Dバーチャル環境。これは患者がVRヘッドセットを着用し、バーチャルな氷の世界を歩きまわるものだ。火傷治療中の一番痛みが激しい時に、氷の洞窟を探検したり、雪玉を投げたりというプレイすると、痛みや苦しみの軽減にモルヒネよりも大きな

    『スーパーベターになろう!』ゲームで変える、あなたが変わる - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    怖い…でも見たい!怪異と戦う弱小少年!『ミヤコ怪談』第8話後編 2018年09月21日 気弱な少年と不良少女のジュブナイルホラー。 虐められっこの草弥は、クラスメイトに脅されて、「タタリ場」への調査に向かうのだが、出会ったのは、世にも恐ろしい妖怪の数々だった…「ミヤコ怪談」はメディ...

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  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第2回:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 未来が後ろにあった頃 - HONZ

    人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集『世界の辺境とハードボイルド室町時代』。第2回は「「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ーー 未来が後ろにあった頃」について。未来の指す方向から読み解く、時間と空間の転換点とは?(HONZ編集部) ※第1回はこちら 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ーー 未来が後ろにあった頃 清水 日語に「サキ」と「アト」という言葉があるでしょう。これらはもともと空間概念を説明する言葉で、「前」のことを「サキ」、「後ろ」のことを「アト」と言ったんですが、時間概念を説明する言葉として使う場合、「過去」のことを「サキ」、「未来」のことを「アト」と言ったりしますよね。「先日」とか「後回し」という言葉がそうです。 でも、その逆に「未来」のことを「サキ」、「過去」のことを「アト」という場合もありますよね。「先々のことを考えて……」とか、「後

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第2回:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 未来が後ろにあった頃 - HONZ
  • 人類の叡智は無限である(ような気がする)『狂気の科学』 - HONZ

    作者:レト・U. シュナイダー 翻訳:宮下 悦子 出版社:東京化学同人 発売日:2015-05-14 この、一度は書店でやりすごした。タイトルも装丁も地味。目次を見たら、脈絡のないトピックスが、年代順に並べてある。ぱらぱらっとめくったが、なんとなく読みにくそうな気がしたので、パス。 しかし、次に書店に行ったとき、また、このが呼ぶのである。一度捨てたに呼びかけられることはめったにない。そこまで迫ってくるのならと、ちょと目を通したら、むちゃくちゃおもろい。こういうでは、たいてい、つまらんテーマがいくつかまぎれこんでいるものだが、総数91のトピックスはすべておもろかった。著者のシュナイダーさん、よほど膨大なストックがあって、そこから厳選したのだろう。 タイトルは「科学」となっているが、内容はかなり限定されていて、ほとんどが心理学と医学、すなわちヒトを対象にした研究である。『奇態な実験』と

    人類の叡智は無限である(ような気がする)『狂気の科学』 - HONZ
  • 『ツイッター創業物語』-編集者の自腹ワンコイン広告 - HONZ

    つい先日IPOも果たしてビジネス的にもそこそこ好調っぽいツイッター。 その始まりは、ほとんど失敗に終わって破綻しかけていた「オデオ」というITベンチャー企業でした。そこで、社員をクビにしまくったあと、残った人たちで考えたプロジェクトが「ツイッター」でした。 書は、いまや3億ユーザが使う世界的ツールになった「ツイッター」の創業秘話を追ったものです。 編集し終わっての率直な感想は―― 「フェイスブックだけじゃなくて、ツイッターの社内でもこんなにもドロドロな権力争いと裏切りが起きていたのか!?」 たんなる成功物語ではなく、「友情」と「嫉妬」に揺れ動き、「一人の女性を奪い合う」若者たちの姿はまるで青春ドラマを見ているかのようにハラハラ、ドキドキ、そして時にムカムカします。アメリカテレビドラマ化が決定したのも納得。ストーリーとしておもしろいです。いまや世界中で使われているサービスも、当に「普通

    『ツイッター創業物語』-編集者の自腹ワンコイン広告 - HONZ
    mieki256
    mieki256 2014/04/17
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