1週間もあればこんな争いは収まるだろう、北日本連邦などという馬鹿げた妄想染みた国など消え去ってしまうだろう――という予想はすべて裏切られ、南北に別れた日本列島における紛争は長期戦の様相を見せ始めていた。しかし、圧倒的に優勢だったのは世界から孤立していたはずの北日本の方だった。その要因のひとつとして、函館沖に浮かんだ巨大パイプが生み出す豊富な資源があげられよう。7人の県知事たちは、中国そしてロシアの闇商人たちと密約を結び、無尽蔵のメタンハイドレートと引き換えに食料、兵器、そして傭兵を得ていたのだ。無論、その影にはセルゲイ・オマンコーノフの存在がある。北日本連邦は富んだ。まるで千数百年もの昔に存在した奥州藤原氏治世下の栄華が蘇ったようだった。独立宣言の日に燃えるようにして興った祭の晩から、北日本の人々の誰もが実際の歳よりも20歳は若く見えるほどに生き生きとし、街には物が溢れ、まるでそこには戦時