国産漆は今、危機にある。文化財保護などで高まる国産ニーズに対し、各地で漆の木や漆かき職人の数が減り、国内で消費される約97%は外国産が占めている。そんな状況を打破しようと、国内生産量約7割を占める岩手県で、職人の手作業が常識だった漆かきを、機械によって量産しようという全国初の試みが進んでいる。 ◇追い風も生産追いつかず・・・ 「ここでも、かつて漆の木を植えていた時代があったんですね」 岩手県盛岡市大ケ生(おおがゆう)地域。丁寧に漆の木を見て歩く、同市の浄法寺漆産業社長・松沢卓生さん(46)。数十年前に「収入源の一つ」として植えられ、今はもう誰も手を付けていない漆の木が何カ所かあると聞いて、地元の地域おこし協力隊員と一緒に見て回った。 「樹齢5年くらいかな。通常の漆の木に比べるとだいぶ細いですけど、機械にかけることができれば、十分良質な漆が採れると見込んでいます」 通常の漆かき用の木と比べれ