米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻(はたん)して1カ月が経過したが、世界的な連鎖株安が続くなど金融市場の激震が収まらない。欧米では金融危機克服の“切り札”とされる公的資金による金融機関への資本注入に踏み切る動きが出始めたが、先行き不安はなお根強い。特に、金融市場を一段の混乱に陥らせかねないとして、市場関係者を脅かしているのが企業倒産時の債務不履行リスクを取引するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)だ。CDSは損失リスクを回避すると同時に、多額の収益を生む投機的な金融商品として市場は大きく膨張したが、リーマン破綻以降、世界中に損失を飛散させる“火薬庫”になる懸念が強まっている。 「CDSは取引所ではなく、金融機関同士の相対で取引されるため、各金融機関にどれだけ損失が発生しているのか、にわかには見えない」。みずほ証券の野村朗クレジットアナリストは、CDSがはらむ損失リスクの闇に危