中部電力が、定期点検中の浜岡原発3号機(静岡県御前崎市)について、7月に運転再開の予定と発表した。地元の理解を得て、という前提ではある。 東日本大震災から2カ月近くを経ても、東京電力福島第1原発事故は、収束の道筋が見えない。原発の安全性が根底から揺らいでいる。いまの状況では、運転再開は容認できない。 川勝平太静岡県知事が難色を示している。中部電力は、静岡はもとより長野も含めた近隣各県の意見を十分に聞くべきだ。 夏場は電力の需要が増える。とはいえ3号機を動かさなければ賄えないものなのか。需要の予測、供給能力について精査が要る。 足りない場合、原発以外の発電で補えないか。業界ごとに交代で工場を稼働する輪番操業、節電など需要を抑える工夫もある。さまざまな選択肢があるはずだ。 地震と津波の対策を万全にすることが、再開の最低条件となる。中部電力はこれまで津波の高さを8・3メートルと想定して