天竜川に沿って深い谷をなぞるように走るJR飯田線の駅の中で、利用客が少なく「秘境駅」とも呼ばれる下伊那郡南部の駅などを巡る貸し切りツアー列車が30日、運行された。豊橋駅(愛知県豊橋市)を出発した3両編成の列車は中井侍(なかいさむらい)駅(下伊那郡天龍村)などに停車。ふだんは静かな駅が、ひとときのにぎわいに包まれた。 列車は、名古屋市内の旅行会社が企画した「秘境駅号」。中井侍駅のホームには、駅名板や屋根が架かったベンチがあるだけで、降り立った乗客約170人の中には「駅舎はどこ?」と周囲に尋ねる人もいた。ホームから望む天竜川両岸の斜面には広葉樹の淡い黄緑色が鮮やか。三重県桑名市から訪れた中川紀代子さん(55)は「中井侍では周辺の茶畑の風景を楽しみに来ました」と話していた。 ツアー列車は、このほか、為栗(してぐり)(同郡天龍村)、田本(たもと)(同郡泰阜村)など五つの駅に停車して天竜峡駅(飯