東電の福島第1原発事故によって、原子力政策そのものにいろいろな批判が向けられてきた。その一つは、原発の発電コストだ。これまで、政府資料では原発の発電コストは最も安いものとされ、原発推進の理由の一つだった(もう一つは「原発はCO2を出さないので環境にいい」)。具体的には、原子力5.6円/kWh、火力6.2円/kWh、水力11.9円/kWhだ。 この計算に対しては、「モデル計算で現実を反映していない」「税金投入が考慮されていない」などの反論があった。それらを考慮すると、必ずしも原発の発電コストは最も安いとはいえないという主張だ。 電力自由化の「キモ」とは しかしながら、その反論にはさらに再反論もあって、なかなか一筋縄ではいかない。データで検証しようにも、最終的には、電力会社という民間会社の企業秘密の壁にぶち当たる。 一般的なコスト論については、学者の研究対象になっても実際の市場では競争で結果が