税金には、貧富の差の問題を改善していくために重要な「所得再分配」の機能があります。しかし、日本の税金をめぐるさまざまな矛盾に切り込んだ書籍『税金格差』の著者であるジャーナリストの梶原一義氏は、「いま、この機能が大きく失われている」と警告します。この記事では梶原氏が、サラリーマンがぜひ知っておきたい「基礎教養」として、格差を広げ続けている「税の欠陥」について解説します。 米国よりひどい!? 日本の中間層の落ち込み 2012年末に誕生した第2次安倍晋三政権は、円安・超金融緩和・株高などを骨子とする経済政策「アベノミクス」を展開し、特に大企業や富裕層はその恩恵をこうむってきた。上場企業は輸出産業を中心におおむね好業績が続き、財務省の法人企業統計によると、企業の内部留保(利益剰余金)は、12年度に304.5兆円だったのが16年度に406.2兆円と、4年間に102兆円増えている。 また日経平均株価は