2008年の1億2808万人をピークに人口が減少に転じ始めた日本。国の人口推計では、2056年には1億人を下回り、2100年には6300万人に半減する見込みだ。人口減少の影響は既にあらゆるところで噴出しているが、地方が直面している現実はとりわけ厳しく、集落からいよいよ人が消えつつある。 本格的に地域住民が減り始める時代に、どのように暮らしとコミュニティを維持していけばいいのか。奈良市や三重県尾鷲市で始まったLocal Coop(ローカル・コープ)の取り組みを追う。(篠原匡、編集者・ジャーナリスト)※文中敬称略 奈良県と三重県の県境に広がる奈良市月ヶ瀬。五月川(名張川)の急流がつくり出した渓谷と、1万本を超える梅林で知られる風光明媚な地域である。 その月ヶ瀬では、ある社会実験が始まっている。公共サービスの住民への“移管”と住民自治の実現である。 例えば、資源ゴミの回収がそうだ。月ヶ瀬月瀬地区
