高嶋哲夫 作家 二つの悲劇大きなカン違い 「海岸に沿った建物の半分以上が消え、残っている建物もどこかに被害を受けている。海岸線に沿って内陸の多くの場所がまだ水没している。日本の町とは信じられなかった。海岸線には、砂浜の代わりに瓦礫の山が続いている。地震で破壊された住宅の残骸が津波で海に運ばれ、再び海岸に打ち上げられたのだ。あの中にはおそらく多数の——」(『TSUNAMI』集英社文庫) 2年前の東日本大震災は地震と津波による災害と共に、もう一つの大きな災害をもたらした。福島第一原子力発電所の原子力事故である。この事故は近隣の市町村に放射能汚染をもたらし、多くの住人が2年経った現在もわが家に帰れないという悲劇をもたらしている。そして、廃炉に用する年月は40年ともいわれている。 さらに、日本のエネルギー政策のみならず、世界のエネルギーの未来に対しても大きな影響を与えた。 「原発の安全神話」が崩れ