今年8月末、「妊婦の血液によりダウン症が99%の精度で判明する検査が日本に導入予定」との報道があり、大きな波紋を呼んだ。これは、妊婦の腕からの採血で胎児のDNAを調べる新しい出生前診断の一種で、従来の羊水検査や絨毛(じゅうもう)検査に比べ、検査に伴う流産や早産などのリスクがないことが特徴の一つとされている。当初の報道では「特定の染色体に関する情報が、簡便に高い精度で分かる」ことだけが強調されたため、一般市民から医療機関への問い合わせが殺到。日本産科婦人科学会(日産婦)は関係学会と協力の上、「出生前に行われる検査および診断に関する見解」の追補案の作成や臨床研究の計画を進めているほか、11月13日には東京都内で公開シンポジウムを開くなど、事態の収拾を図っている。シンポジウムでは、各領域の専門家から日本での新出生前診断の導入に関するさまざまな意見が出された。 ◎米国では当局の規制対象外 ダウン症