牛丼の吉野家にあって野菜だけの「ベジ丼」を企画し、すかいらーくホールディングス(HD)の「ガスト」との共通割引券を実現するなど、異例の企画を成功させてきた田中安人CMO(最高マーケティング責任者)。新卒で入社したヤオハンジャパンの経営破綻で学んだ危機意識の重要性を説き、「妄想マーケター」と自称する田中氏にマーケターの役割を聞いた。 マーケターは「桃太郎」になれ――田中さんは自身を「右脳マーケター」と表現しています。 「もっと言うと妄想マーケターです。私は妄想からしかアイデアは生まれないと信じています。今まで潤沢な予算がつく仕事なんてしたことがないから、頭を使うしかなかった。それが妄想を大切にするということです」 「2013年、吉野家ホールディングス傘下のはなまるうどんの宣伝企画部長だったときに、当時の河村泰貴社長(現吉野家HD社長)から『予算がないけど売り上げを上げたい』と言われてひねりだ
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