こんにちは。大月規義と申します。東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故が起きた2011年3月以来、震災復興や原発政策の取材を続けてきました。このニュースレターが届く20年9月20日は、福島県の双葉町にできた「東日本大震災・原子力災害伝承館」のオープン当日です。先日、報道機関向けに内覧会があり、私も参加しました。展示物の中に思いも寄らぬ「故人」にまつわる冊子を見かけました。それは、私にとって、なぜあの事故を防げなかったのかと、改めて思わせるものでした。 置き去りにされた患者たち 内覧会に参加したのは、昨年に解体された国の「オフサイトセンター」の資料を見物するためでした。オフサイトセンターは、原発の敷地(オンサイト)の外、つまり周辺地域の拠点を意味しています。原発事故が起きたときに住民を被曝(ひばく)から守り、安全に避難誘導するのが最大の役割です。こうした施設は全国の原発や核燃料施設などの近