さて、「似ているなあ」と感じたことを書いてきたけれど、もちろん違いも大きい。とりわけ社会主義の評価と組織の問題かな。 やはり、私より少し上の世代は、若い頃に社会主義への幻想みたいなものがあったのだろう。だから、スターリン批判で「これは社会主義ではない」と感じ取り、ソ連の崩壊にあたって、どんな種類のものかは別にして、あれ大きな感傷を抱くことになった。「トロツキスト」なんだったらソ連が崩壊しても何の感慨もないだろうと思うのに、安彦さんにはこだわりが感じられる。 一方の私は、スターリン批判は小学生だったので知らないが、もうそれが前提となった社会主義観で出発した。プラハの春を見て、「社会主義というのはこういう社会」だと思いながら大きくなったし、大学に入って中国の核実験をめぐる日本共産党の混乱ぶりを外から見て、「まだ共産党は社会主義国というものに幻想を持っているのだ」とびっくりしたくらいだ。 そんな
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