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ブックマーク / kimihikohiraoka.hatenablog.com (5)

  • 哲学は役に立つか――プラトンの倫理学3 - 平岡公彦のボードレール翻訳ノート

    「人はいかに生きるべきか」という問いは、人が生涯をつうじて絶えず問い直すべき問いである。そう言明する者には、求道者としての高潔さや矜持さえ感じられるかもしれない。だが、この問いを問う者が、いつまでもみずからの生き方を決められずにいるとすれば、それはおおよそ人のめざすべきあり方ではない。 プラトン全集〈9〉 ゴルギアス メノン 作者: 加来彰俊,藤沢令夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/09/23メディア: 単行 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る 人はみずからの生き方を決めなければならない。しかし、「人はいかに生きるべきか」という問いは、それを問う者の生き方を未決定の状態におく。自分はこれからいかに生きるべきか。あるいは、これまで自分は善く生きてきたのだろうか。そう問う者は、それらに対する評価を宙に浮かせ、立ち止まることを余儀なくされる。そして、それらの

    哲学は役に立つか――プラトンの倫理学3 - 平岡公彦のボードレール翻訳ノート
  • プラトンの偉大さ――プラトンの倫理学1 - 平岡公彦のボードレール翻訳ノート

    哲学を学ぼうと考える人がプラトンの対話篇を手に取ることは、いくつかある哲学へのよい入口の一つではなく、考えうる最良の入口である。そして、みずから哲学することをはじめたければ、人はできるだけはやくプラトンの対話篇と出会い、ソクラテスをはじめとする登場人物たちとみずから対話しなければならない。 プラトン全集〈1〉エウテュプロン ソクラテスの弁明 クリトン パイドン 作者: プラトン,今林万里子,松永雄二,田中美知太郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/01/25メディア: 単行 クリック: 8回この商品を含むブログ (11件) を見る このように書くと、すぐさま時代錯誤の権威主義の腐臭を嗅ぎ取られ、敬遠されることだろう。事実、そうした予断と偏見がプラトンやアリストテレスといった過去の偉大な哲学者たちの書物から多くの読者を遠ざけている。だが、過去の哲学者たちがそれぞれの探究において

    プラトンの偉大さ――プラトンの倫理学1 - 平岡公彦のボードレール翻訳ノート
  • ハイデガーと決断――『暇と退屈の倫理学』をめぐる國分功一郎さんとの質疑応答1 - 平岡公彦のボードレール翻訳ノート

    昨年哲学者の國分功一郎さんにした『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社)についての質問にご回答をいただきました。非常にご多忙にもかかわらず、時間をかけて真剣に答えてくださったことがわかる長文の論考に感動しております。ほんとうにありがとうございました。 暇と退屈の倫理学 作者: 國分功一郎出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2011/10/18メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 13人 クリック: 146回この商品を含むブログ (128件) を見る ということで、今回は唐突に文体を変更し(笑)、國分さんの労にお応えするため、いただいたお返事にしっかりとお答えしたいと思います。 以下の記事は、次のリンク先にある國分さんのブログの記事のコメント欄を精読した上でお読みください。 『暇と退屈の倫理学』今日発売、イベント告知 | Philosophy Sells...But Who's Buyin

    ハイデガーと決断――『暇と退屈の倫理学』をめぐる國分功一郎さんとの質疑応答1 - 平岡公彦のボードレール翻訳ノート
  • 平岡公彦のボードレール翻訳ノート

    冥界のドン・ジュアン(1861年版) シャルル・ボードレール/平岡公彦訳 ドン・ジュアンが地下の水辺へと下っていき、 カロンに渡し賃のオボロス銀貨を払ったとき、 アンティステネスのごとく誇らかな目をした 陰気な乞は、復讐者の強き腕に櫂を握った。 垂らした乳房とはだけたドレスを見せつけて、 黒き天蓋の下で身をよじらせている女たちは、 犠牲に供された牛の大群のごとくつめかけて、 彼の背後に長き鳴き声の尾を引きずっていた。 スガナレルはにこやかに給金の支払いを請い、 一方でドン・ルイは、指をわななかせながら、 岸辺をさ迷い歩くすべての死者たちに向かい、 白髪面を嘲った不敵な息子を見せつけていた。 喪服姿で震え、痩せた貞淑なエルヴィールは、 かつて恋人だった不実な伴侶に寄り添っては、 はじめて交わした愛の誓いが甘く輝いていた 至高の微笑を、いまも請うているようだった。 石像の大男は、甲冑をまとい

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  • 宇野常寛について――宇野常寛/國分功一郎「個人と世界をつなぐもの」を読む1 - 平岡公彦のボードレール翻訳ノート

    『すばる』2012年2月号に掲載された批評家の宇野常寛と哲学者の國分功一郎の対談「個人と世界をつなぐもの」を読んだ。 すばる 2012年 02月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/01/06メディア: 雑誌購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (4件) を見る 対談の内容は、昨年2011年に刊行された宇野の『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)と國分の『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社)のプロモーションをしつつ、そこで論じられている個別の論点について意見交換をするというオーソドックスなものだ。とはいえ、なかにはかなり突っ込んだ議論もあり、とりわけ消費社会については、宇野と國分の見解は真っ向から対立しており、どちらの著者の読者にとっても興味深い対談になっていると言えるだろう。 宇野常寛という批評家について この対談を読むまで、宇野常寛という批評家に対する私

    宇野常寛について――宇野常寛/國分功一郎「個人と世界をつなぐもの」を読む1 - 平岡公彦のボードレール翻訳ノート
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