「iPS細胞技術の最前線で何が起こっているのか」、「将棋をはじめとするゲームの棋士たちはなぜ人工知能に負けたのか」…もはや止めることのできない科学の激動は、すでに私たちの暮らしと世界を変貌させつつある。 人間の「価値」が揺らぐこの時代の未来を見通すべく、“ノーベル賞科学者”山中伸弥と“史上最強棋士”羽生善治が語り合う『人間の未来AIの未来』(山中伸弥・羽生善治著)より抜粋してお届けする。 『人間の未来AIの未来』連載第3回 互いに成果を隠す「発表競争」 山中 将棋の世界は、オープンソースを土台にみんなでアイデアを出し合うという、インターネット社会のメリットを最大限に生かしてソフトを進化させてきたわけですね。しかし、僕がいる生命科学の世界は、研究の競争が激しくて、みんな隠して隠して、論文発表で初めて世に出すという感じです。 羽生 先端科学の世界で、ちょっと意外ですね。