エコノミスト・熊野英生氏による「『悪い値上げ』傾向と対策」の一部を公開します。(月刊「文藝春秋」2022年2月号より) ◆◆◆ 新年早々から恐縮だが、今年は値上げの1年になるだろう。昨年から値上げのニュースが目に付くようになったが、その傾向がさらに進むと筆者は見ている。 昨年はガソリンや灯油の価格が大きく上昇し、電気やガスなどの公共料金は今年の2月まで6ヶ月連続で値上げされる。昨年初めと比較すると大手電力10社、大手都市ガス4社ともに15%近くも上昇していることになる。 それだけでない。パンやマーガリン、牛肉、コーヒー、食用油、冷凍食品、飲料、砂糖、マヨネーズといった調味料など、多くの食料品が値上げされ、今年も多くのメーカーが値上げを発表している。 値段を据えおきながら量を減らして、実質的に値上げする「ステルス値上げ」は以前から目についたが、もはや、それでは各企業ともしのげないのだろう。