19世紀初めにドイツ人医師・シーボルトから贈られ、日本最古とされる萩市今魚店町の熊谷美術館所蔵のピアノが、弦を製作当時と同じ材質のものに張り替えるなど当時の状態に復元されることになった。関係者は約190年前のやわらかな音色の復活に期待を寄せている。(横木稔郎) 同美術館は江戸時代に金融や製塩で萩藩内一の豪商だった熊谷家の屋敷に同家の所蔵品を展示している。ピアノは4代当主、義比(よしかず)と親交のあったシーボルトが1828年、帰国する際に寄贈したとされ、ピアノのふたの裏側にはシーボルト自筆のサインがある。幅約1・6メートル、奥行き約60センチ、高さ約90センチで、6本の足が付いたテーブル型。美術館によると、1820年頃イギリスで製作され、最初に国内に持ち込まれたピアノだという。 熊谷家では1955年頃、現代のピアノに使われている鋼鉄製の弦を使って修理したが、弦の張力に耐えきれず、ピアノ本体ま