(左から)人工皮、猫皮、カンガルー皮、犬皮を胴の部分に用いた三味線=京都市西京区で2022年10月11日午後5時58分、益川量平撮影 歌舞伎や舞踊など日本の伝統芸能に不可欠な三味線の業界が曲がり角を迎えている。胴に張る猫皮の確保が難しかったり、愛好者が減ったりしているためだ。新型コロナウイルス禍という逆風も吹く中、「チントンシャン」の音色は守れるだろうか。 猫皮の使用に風当たり強く 1970年代後半から三味線の皮張りを手がける島根県浜田市のイサミヤ邦楽器店代表、田中耕太郎さん(64)は「動物の皮は厚みにムラがあるから音にも厚みが生まれる。特に、猫の皮のバランスは絶妙だ」と語る。ただ、愛猫家らの反発を受けて供給が減り、80年代には輸入の猫皮に頼るようになった。供給も減って価格は高騰。一時は東南アジア産の犬の皮で代用したが、こちらも動物愛護の観点から入手が困難になった。 人工皮では音が単調にな