岩手県山田町立「鯨と海の科学館」で、日本一の大きさを誇るマッコウクジラの骨格標本がそのままの状態で見つかった。 津波にのまれながらも耐えた姿に、町民らからは「復興のシンボルだ」との声も上がっている。 鯨は商業捕鯨が禁止された前年の1987年に、釜石沖約200キロで捕獲された。体長17・6メートル、重さ60トンと世界最大級。貴重な資料として、かつて捕鯨基地のあった同町に捕鯨会社から寄贈された。全国から来場者があり、町の観光名所となった。 津波で展示室内も浸水し、窓は割れ、折れた枝や泥が入り込んで展示物は散乱している。高さ約10メートルの天井からつるされている骨格の口やあばら骨にも泥が付着し、津波に巻き込まれたことがうかがえる。 同町に住む佐藤葵(まもる)さん(76)は「明るいニュースが少ない中、津波を“泳ぎ切った”クジラは勇気を与えてくれる。街の復興も見届けてもらいたい」と話す。 鯨の生態に