敗戦後のハイパーインフレ終了後の日本には、日本経済はまったくのゼロからスタートせざるを得ませんでした。本来であれば、日本も外国から巨額の借入れを行い、高い金利を支払いつつ、外国資本に金融を左右されるという不安定な状況で経済を再生させる必要がありました。ところが日本経済は偶然にもある時期からそうした状況とは無縁となりました。経済評論家の加谷珪一氏が著書『縮小ニッポンの再興戦略』(マガジンハウス新書)で解説します。 敗戦後、日本経済はゼロからスタート 日本の高度成長は、日本人の優秀さと血のにじむような努力がもたらした結果であるという価値観は、広く共有されています。しかし、この価値観は限りなく願望に近いと考えてよいでしょう。なぜなら、日本に限らず、経済成長を実現した国の多くが、何らかの偶然が作用しているケースがほとんどだからです。 日本の成長は偶然だったと主張すると、どういうわけか多くの人が怒り