日本政府は、8月24日、福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を開始した。科学的データに基づき、またIAEA(国際原子力機関)のお墨付きを得た上での決定である。その後の海水のモニタリング調査でも、数値が計測できないくらいに問題のない状態である。 ところが、中国政府は、「核汚染水」と称して問題化し、日本からの水産物を全面禁輸したのみならず、中国国内での加工や調理を行うことも禁じた。また、中国からの抗議電話が日本に殺到し、公的な機関でもない民間の商店などに被害が相次いでいる。青島では、日本人学校が投石される被害も出ている。常軌を逸したこの反応の裏には何があるのだろうかーー。 海洋放出に至るまでの経緯 2011年3月11日の東日本大震災で、福島第一原子力発電所が大事故を起こした。1986年4月のチェルノブイリ原発事故以来の深刻な事故で、炉心融解(メルトダウン)という事態になった。 今年の4月15